MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30

独居で不安傾向の強い高齢女性、心理的配慮を重視し在宅支援を継続したケース

■ 基本情報

  • 年齢・性別:85歳・女性

  • 居住地:名古屋市中区

  • 家族構成:独居(キーパーソンは県外在住の甥)

■ 保険・福祉情報

  • 医療保険:後期高齢者医療保険(1割負担)

  • 介護保険:要介護3(1割負担)

  • 公費制度:身体障害者手帳3級

■ 診断名

  • 関節リウマチ

  • 身体表現性障害(不安症)

  • 圧迫骨折

  • 帯状疱疹後神経疼痛

■ 導入の背景

もともとA病院にて関節リウマチや身体表現性障害で通院していた。2023年1月16日、転倒後に体動困難となり救急搬送され、補液加療の後に自宅退院となった。以前より転倒を繰り返しており、在宅での医療的サポートを希望されたことから、同年2月中旬に当院が介入を開始した。

■ 介入内容と経過

  • 訪問診療導入後は、転倒リスクの評価と生活支援を継続

  • 不安傾向が強く、「独身・未婚」といったワードに敏感に反応するなど、心理的な配慮が不可欠

  • 「キーボックスの話題を本人の前では避ける」など、チーム内で注意点を共有

  • 信頼関係を損なわないよう細心の配慮を行いながら訪問診療・訪問看護を継続中

■ 医療対応の詳細

  • 特定の侵襲的医療処置は実施せず

  • 関節リウマチや神経疼痛の症状管理、体動困難への対応を中心にフォロー

■ 支援のポイント

  • 医療的管理に加え、心理的な側面への配慮が不可欠

  • 単身かつ遠方にしかキーパーソンがいないため、日常的な支援は医療・介護チームに強く依存

  • 「言葉の選び方」など小さな配慮が、療養の安定化に直結している

■ 考察

本症例は、身体的疾患だけでなく心理的な脆弱性が強く影響しており、在宅療養の継続には「安心感の確保」が重要であることを示している。医療・介護スタッフが注意点を共有し、信頼関係を維持することが、独居高齢者の在宅支援において大きな意味を持つ。

■ 付記情報

  • 疾患種別:膠原病・精神疾患・整形外科疾患・神経障害性疼痛

  • 病名:関節リウマチ、身体表現性障害(不安症)、圧迫骨折、帯状疱疹後神経疼痛

  • 医療処置:なし

  • エリア:名古屋市中区

  • 生活環境:独居、県外在住の甥がキーパーソン

  • 医療負担割合:1割

  • 専門医介入:A病院(外来フォロー歴あり)

  • 公費負担医療:身体障害者手帳3級

  • 障害者手帳・認定情報:身体障害者手帳3級