在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
切除不能膵がん患者、在宅酸素を導入し自宅療養へ移行したケース
■ 基本情報
-
年齢・性別:52歳・女性
-
居住地:名古屋市中区
-
家族構成:夫・長男・次男と4人暮らし
■ 保険・福祉情報
-
医療保険:後期高齢者医療(3割負担)
-
介護保険:新規申請中
■ 診断名
-
膵臓がん(切除不能)
■ 導入の背景
切除不能膵がんに対しゲムシタビン(GEM)による化学療法を受けていたが、PD(Progressive Disease)となり、治療方針はBSC(Best Supportive Care)に切り替えられた。
癌性胸水による呼吸苦が強く、在宅酸素療法(HOT)が導入された。
今後について患者・家族より在宅療養の希望があり、訪問診療導入を検討。A病院から当院に依頼があり、退院にあわせて導入する運びとなった。
■ 介入内容と経過
7月19日に退院と同時に訪問診療を初診として開始。
初診時点で、在宅生活を継続するためにはケアマネジャー・訪問看護の介入が必須と判断。
当院相談員が速やかに手配を行い、訪問診療と並行して各職種が支援に加わった。
■ 医療対応の詳細
-
在宅酸素療法(HOT)の導入・管理
-
疼痛や呼吸苦のコントロールを中心とした緩和ケア方針
-
ケアマネジャー、訪問看護との多職種連携体制を構築
■ 支援のポイント
-
BSCへの移行に伴い、病院依存から在宅中心へと支援体制を切り替えることが重要であった
-
退院前から在宅医療の導入準備を進め、シームレスな移行を実現したことが安心感につながった
-
ケアマネ・訪問看護の早期介入により、在宅療養を支える基盤が初期段階から整備できた
■ 考察
本症例は、化学療法終了後にBSCへ移行した膵がん患者における訪問診療導入の事例である。
癌性胸水による呼吸苦に対しHOTを導入することで、退院後も在宅で療養を続けられる環境を整備できた。
退院直後から多職種が関与する体制を構築することは、患者本人だけでなく家族にとっても安心材料となり、今後の生活を支える上で重要な要素であると考えられる。
■ 付記情報
-
疾患種別:消化器系腫瘍性疾患
-
病名:膵臓がん(切除不能)
-
医療処置:在宅酸素療法(HOT)
-
エリア:名古屋市中区
-
生活環境:夫・長男・次男と同居
-
医療負担割合:3割
-
専門医介入:A病院(消化器内科)
-
公費負担医療:該当なし