在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
くも膜下出血後、気管切開・胃ろう管理を含め在宅療養を継続したケース
■ 基本情報
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年齢・性別:63歳・男性
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居住地:名古屋市名東区
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家族構成:妻と二人暮らし
■ 保険・福祉情報
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医療保険:国民健康保険(3割負担)
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介護保険:要介護5(1割負担)
■ 診断名
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くも膜下出血(解離性椎骨動脈瘤破裂)
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嚥下障害
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延髄梗塞(四肢麻痺)
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高血圧症
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アレルギー性皮膚炎
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うつ状態
■ 導入の背景
2024年1月、突然の意識消失でTセンターへ救急搬送された。左解離性椎骨動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断され、母血管閉塞術を実施。その直後に心肺停止をきたし、挿管・全身麻酔管理となった。
経過中に延髄梗塞が発生し、四肢麻痺を認めた。また誤嚥性肺炎を繰り返すため気管切開術が施行され、嚥下障害も残存した。消化管出血も一時的に合併したが保存的に軽快した。
全身状態が安定したため、Zリハビリセンターに転院しリハビリを継続。退院後は自宅療養を希望され、気管切開および胃ろう管理を含めた訪問診療を導入することとなった。
■ 介入内容と経過
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定期的な訪問診療で気管切開・胃ろうの管理を実施
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誤嚥性肺炎の再発予防に重点を置き、呼吸状態の観察を継続
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栄養は胃ろうを中心に安定的に確保し、体力の維持に努めた
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精神的側面(うつ状態)にも配慮し、家族への説明・支援を強化
■ 医療対応の詳細
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気管切開カニューレ管理
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胃ろうからの栄養管理
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血圧コントロール、皮膚症状への対応
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誤嚥性肺炎再発時の早期対応
■ 支援のポイント
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気管切開・胃ろうを含む医療的ケアは家族の負担が大きく、訪問診療・訪問看護の継続的支援が不可欠であった
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四肢麻痺によりADLが著しく低下していたため、介護度の高い支援体制が必要であった
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妻が主介護者として支えていたが、長期的に支援を継続できるよう外部サービスとの連携が重要であった
■ 考察
本事例は、突発的な重症くも膜下出血の後遺症により、多様な医療的ケアを必要としながらも在宅療養が選択されたケースである。気管切開と胃ろうを併せ持つ患者の在宅生活は、家族の献身だけでなく、多職種の緊密な支援体制があって初めて成り立つことを示している。
■ 付記情報
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疾患種別:脳血管疾患、循環器疾患
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病名:くも膜下出血、嚥下障害、高血圧症、アレルギー皮膚炎、うつ状態
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医療処置:気管切開カニューレ管理、胃ろう管理
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エリア:名古屋市名東区
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生活環境:妻と二人暮らし
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医療負担割合:3割
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専門医介入:Tセンター、Zリハビリセンター
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公費負担医療:該当なし
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障害者手帳・認定情報:記載なし