在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
脳梗塞後のリハビリを経て、自宅退院後に訪問診療で在宅生活を継続できたケース
■ 基本情報
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年齢・性別:80歳・男性
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居住地:名古屋市昭和区
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家族構成:長女と二人暮らし。妻は他界。長男は東京在住。
■ 保険・福祉情報
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後期高齢者医療保険(3割負担)
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福祉給付金資格者証
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要介護4(2割負担)
■ 診断名
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左脳梗塞(右片麻痺残存)
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高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症
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前立腺肥大症
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慢性副鼻腔炎
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足底部尋常性乾癬
■ 導入の背景
2023年11月、右不全麻痺が出現しA病院を受診。左基底核〜放線冠の脳梗塞と診断され、DAPT・エダラボン・アルガトロバンによる急性期治療を受けた。
その後Bリハビリテーション病院に転院。装具使用により歩行訓練を実施し、重度の右片麻痺は残存していたが、平行棒歩行や右上肢挙上が一部可能となった。さらにCリハビリテーション病院でのリハビリを経て、4点杖と装具で室内歩行が可能にまで改善。浴槽移乗は軽介助、階段は中等度介助、屋外は車椅子利用となった。
2024年5月に自宅退院が決定し、退院後は通院困難となるため訪問診療を導入することとなった。
■ 介入内容と経過
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退院後は当院の訪問診療を導入し、体調や合併症管理を継続
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月・水・土にデイサービスを利用し、機能維持を図っている
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長女は日中仕事に出ているが、同居により日常生活のサポートは可能
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介入から5か月が経過し、大きなトラブルなく在宅生活を継続中
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訪問看護は導入せず、家族支援とデイサービスを中心に運用している
■ 医療対応の詳細
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定期的な診察と服薬管理
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脳梗塞後遺症に対するリハビリ経過の確認
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合併する生活習慣病(高血圧・糖尿病・高尿酸血症・脂質異常症)のフォロー
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前立腺肥大症や慢性副鼻腔炎については安定した状態を維持
■ 支援のポイント
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自宅退院に向けてリハビリを継続し、在宅生活に必要なADLレベルを確保できたことが重要
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長女が同居している点は支援の基盤となり、訪問看護を導入しない判断にもつながった
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デイサービスの定期利用は身体機能の維持と介護負担の軽減に有効に作用している
■ 考察
本症例は、脳梗塞後の重度片麻痺を抱えつつも、集中的なリハビリを経て在宅復帰を果たし、訪問診療での継続支援により生活を安定化できたケースである。デイサービスの積極的な利用と家族の支援により、訪問看護を導入せずとも療養継続が可能となった点は、在宅医療と介護資源のバランス活用を示す一例といえる。
■ 付記情報
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疾患種別:脳血管疾患、生活習慣病
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病名:左脳梗塞(右片麻痺残存)、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、前立腺肥大症、慢性副鼻腔炎、尋常性乾癬
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医療処置:該当なし
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エリア:名古屋市昭和区
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生活環境:長女との二人暮らし
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医療負担割合:3割
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専門医介入:リハビリ病院での継続フォロー
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公費負担医療:福祉給付金資格者証
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障害者手帳・認定情報:記載なし