在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
透析患者における頸椎手術後の在宅支援とシャントトラブル対応
■ 基本情報
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年齢・性別:86歳・男性
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居住地:名古屋市西区
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家族構成:妻との二人暮らし。長男は北区在住。次男夫妻は近隣に居住し、キーパーソンは次男または次男の妻。
■ 保険・福祉情報
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後期高齢者医療保険(1割負担)
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福祉給付金資格者証
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要介護4
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介護負担割合:1割
■ 診断名
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慢性腎不全
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頸椎症性脊髄症(手術歴あり)
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発作性心房細動
■ 導入の背景
2019年より透析導入中。2023年春に転倒し、頸部痛で救急搬送された。高度頸部脊柱管狭窄と頸椎症性脊髄症の診断を受け、頸椎後方除圧固定術を施行。入院中には発作性心房細動を発症し、ワーファリンが開始された。
その後、リハビリ・透析目的で転院を繰り返す中、シャント閉塞に対して経皮的血管形成術(PTA)が行われた。退院後は在宅での療養を希望し、当院の訪問診療を導入した。
■ 介入内容と経過
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退院後は透析通院を継続しつつ、当院の訪問診療を併用
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全身状態・服薬管理・生活支援を中心に診療を実施
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シャントトラブルはCクリニックで対応しつつ、当院が在宅での体調管理を支援
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家族(特に次男夫妻)が介助・調整を担い、在宅生活を支えている
■ 医療対応の詳細
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慢性腎不全に対して透析管理を継続(外来通院ベース)
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ワーファリンを含む薬物療法のフォロー
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頸椎手術後の身体状態や合併症のモニタリング
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シャント閉塞時は専門クリニックと連携して迅速対応
■ 支援のポイント
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長期透析患者では、シャントトラブルが在宅継続のリスクとなるため、多職種での連携が重要
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複数回の入院・転院を経て在宅療養に戻った背景を踏まえ、本人・家族に安心感を与える体制構築が求められる
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次男夫妻が近隣に居住している強みを活かし、介護負担を分散している
■ 考察
本症例は、慢性腎不全患者における在宅療養の複雑さを示す。透析通院を継続しながらも訪問診療を組み合わせることで、医療的な安心と在宅生活の両立が可能となった。特に、シャント閉塞などの突発的な合併症への対応を専門医療機関と役割分担することが、在宅継続の鍵となる。
■ 付記情報
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疾患種別:腎疾患、循環器疾患、整形外科疾患
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病名:慢性腎不全、頸椎症性脊髄症(術後)、発作性心房細動
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医療処置:透析管理、ワーファリン内服、シャントトラブル対応(PTA)
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エリア:名古屋市西区
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生活環境:妻との二人暮らし、次男夫妻が近隣に在住
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医療負担割合:1割
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専門医介入:透析外来、シャント管理の専門クリニック
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公費負担医療:福祉給付金資格者証
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障害者手帳・認定情報:記載なし