在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/30
「歩行障害と認知機能低下を背景に訪問診療を導入したケース」
基本情報
年齢・性別:81歳・女性
居住地:名古屋市千種区
家族構成:夫と二人暮らし
保険・福祉情報:後期高齢者医療保険(1割負担)、介護保険未申請
主病・健康状態
主病:未確定
疑われる疾患:
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パーキンソン症候群(パーキンソニズム)
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小脳失調症
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神経難病の可能性
身体所見:
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バイタルサイン:BT 37.0℃、HR 64 bpm、BP 182/100 mmHg、SpO₂ 97%
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意識:清明、受け答え良好
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胸部:心雑音あり、呼吸音清
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腹部:平坦・軟
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下肢:浮腫なし、皮膚乾燥あり、白癬菌陽性
特記事項:
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歩行障害:すり足歩行が顕著、動作開始に時間を要する、下肢挙上困難、表情の乏しさ
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上肢:軽度の固縮あり、安静時振戦は認めず
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認知機能:短期記憶低下あり、認知症の可能性を示唆
導入の背景
夫からの依頼により訪問診療を検討。本人は長年医療機関を受診しておらず、介護保険も未申請であった。近年、ADL低下が顕著となり通院困難な状況に至ったため、訪問診療を導入した。主治医意見書の記載やケアマネジャー調整も当院が対応した。
介入内容と経過
既往歴:特記事項なし(耳がやや悪い自覚あり)
アレルギー歴:なし
予防接種歴:コロナワクチン接種後の意識消失歴あり、インフルエンザ未接種
内服歴:なし
経過:
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数年前から足の不自由さが顕著となり、転倒歴を有する。現在は自宅で伝い歩きのみ。
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動作開始の遅延が進行し、認知機能の低下も確認された。
医療対応の詳細
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血圧管理を含む全身状態の定期観察
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疑われる神経疾患の鑑別のため、精査の必要性を判断
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薬剤師・訪問看護と連携し、服薬状況の把握と支援体制を検討
支援のポイント
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医療機関受診歴が乏しい患者においては、診断未確定の段階でも在宅での支援体制を整えることが重要
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認知機能低下と歩行障害の進行が見られるため、転倒予防と生活支援が不可欠
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夫が唯一の支援者であるため、介護保険申請を含めて早期の制度利用につなげる必要がある
今後の対応
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神経内科での精査を予定し、総合病院への紹介を実施
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地域連携室へ情報共有済み
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ケアマネジャーによる支援体制構築を依頼
付記情報
疾患種別:神経・運動器疾患の疑い
病名:未確定(パーキンソン症候群・小脳失調症などの可能性)
医療処置:該当なし
エリア:名古屋市千種区
生活環境:夫と二人暮らし
医療負担割合:1割
専門医介入:神経内科精査予定
公費負担医療:該当なし
障害者手帳・認定情報:該当なし