在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/22
「独居高齢者における末期がん在宅療養と24時間支援体制の実践」
■ 基本情報
- 年齢・性別:73歳・男性
- 居住地:名古屋市熱田区
- 家族構成:独居。家族は遠方に住む姪1人
■ 保険・福祉情報
- 医療保険:国民健康保険(1割負担)
- 介護保険:要介護4(1割負担)
■ 診断名
- 肝細胞がん末期
- 腹水貯留
- 肝性脳症
■ 導入の背景
外来通院での治療継続が限界となり、本人は「病院に行かず家で過ごしたい」と強く希望した。
独居で急変時の不安は大きかったが、ケアマネ・訪問診療・訪問看護・薬剤師・ヘルパーが連携し、24時間対応可能な体制を整えたことで在宅療養が可能となった。
■ 介入内容と経過
医師は定期的に訪問し、疼痛コントロールや腹水穿刺を実施。オピオイドにより痛みや呼吸苦を和らげた。
訪問看護は終末期加算を活用し、進行期には毎日訪問を実施。
薬剤師が薬を一包化して服薬状況を確認し、服薬ミスを防止。
姪には在宅看取りに向けた心構えを伝え、常時相談可能な体制を整えた。
■ 医療対応の詳細
- 疼痛コントロール(オピオイド投与)
- 腹水穿刺
- 終末期看護(終末期加算による頻回訪問)
- 薬剤師による服薬支援
■ 支援のポイント
- 独居患者においては「孤立の不安」を緩和するために、多職種で24時間支援体制を整備することが不可欠である
- 在宅看取りに向けて家族に心構えを伝えることで、安心して最期を迎えられる環境をつくることができる
- 終末期加算を活用した訪問看護の頻回訪問は、症状進行期における支えとなる
■ 考察
本症例は、独居であっても多職種連携による包括的な支援体制が整えば、本人の希望を尊重した在宅看取りが実現できることを示している。訪問診療の役割は、症状緩和や医療的対応だけでなく、「家で過ごしたい」という患者の願いをチーム全体で支える点にある。
■ 付記情報
- 疾患種別:消化器系悪性腫瘍
- 病名:肝細胞がん末期、腹水貯留、肝性脳症
- 医療処置:疼痛コントロール(オピオイド)、腹水穿刺
- エリア:名古屋市熱田区
- 生活環境:独居、遠方に住む姪がキーパーソン
- 医療負担割合:1割
- 専門医介入:該当なし
- 公費負担医療:該当なし
- 障害者手帳・認定情報:該当なし