コラム2025/09/05
感染症の不安に備える選択肢としての訪問診療
冬のインフルエンザ、夏の胃腸炎、新型コロナなど、感染症のリスクは季節を問わず、高齢者や慢性疾患のある方にとっては命に関わる問題です。「病院に行くのは不安。でも、診てもらわないと心配。」そうした葛藤を抱えるご家庭も少なくありません。
訪問診療は、そうしたときの有力な選択肢のひとつです。
外出せずに医療を受けられるメリット
医師や看護師が自宅を訪問し、診察・検査・薬の処方まで対応できるため、病院での待ち時間や院内感染のリスクを避けることができます。
また、自宅でのワクチン接種(インフルエンザ・肺炎球菌など)にも対応しており、感染症シーズンに備える体制づくりが可能です。
特に慢性心不全や糖尿病など、感染症への抵抗力が低い方にとっては、外出せずに医療を受けられるという仕組みは、安心・安全な在宅生活を支える大きな柱になります。
さらに、訪問診療のチームには看護師や薬剤師も加わり、体調の変化に応じて点滴や投薬内容の調整といった柔軟な対応が可能です。
制度のポイント
- 医療保険で、訪問による診察・検査・治療が可能
- 自宅でPCR検査やインフルエンザ迅速検査にも対応
- ワクチン接種は自治体補助 or 自費対応で在宅実施可能
- 外来受診を減らし、院内感染リスクの回避に貢献
導入事例
85歳・男性(慢性心不全・糖尿病)。
冬場の外出が心不全悪化や感染症リスクを高めることから、訪問診療を導入。
医師による定期診察に加え、自宅でのインフルエンザ・肺炎球菌ワクチン接種を実施しました。
結果として、シーズン中も体調を安定して維持でき、入院することなく自宅療養を継続。
ご本人と同居する妻も、「往診で診てもらえるだけで、外出への不安がなくなった」と安心した表情を見せていました。
まとめ
感染症の不安が続く中で、「外出しなくても医療が届く」という仕組みは、ご本人にとってもご家族にとっても、大きな安心材料になります。
特に慢性疾患や高齢による体力の低下がある場合、病院に行かないことが“守る手段”になることもあります。
訪問診療は、“体が動かなくなってから”ではなく、通院の負担が重くなってきた段階から導入を検討できる医療サービスです。
季節ごとの感染症対策も含め、在宅生活を守る手段のひとつとして、ぜひ知っておいてください。