在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/03
「独居で最期まで在宅を希望した末期肝がん患者を支えたチーム連携」
■ 基本情報
年齢・性別:73歳・男性
居住地:名古屋市熱田区
家族構成:独居(キーパーソン:遠方在住の姪)
■ 保険・福祉情報
医療保険:国民健康保険(1割負担)
介護保険:要介護4(1割負担)
■ 診断名
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肝細胞がん末期
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腹水貯留
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肝性脳症
■ 導入の背景
通院での治療継続が困難となり、本人は「病院ではなく自宅で過ごしたい」と強く希望した。
独居であるため急変時の不安が大きかったが、ケアマネジャーを中心に、訪問診療・訪問看護・薬剤師・ヘルパーによる24時間体制を整備し、在宅療養へ移行することとなった。
■ 介入内容と経過
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医師が定期的に訪問し、疼痛コントロールと腹水穿刺を実施
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オピオイドによる疼痛・呼吸苦の緩和
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訪問看護は終末期加算を活用し、症状進行期には毎日の訪問を実施
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薬剤師が薬剤を一包化し、服薬確認をサポート
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姪に対しては在宅看取りに向けた心構えや対応方法を伝え、安心して関われる体制を整備
■ 医療対応の詳細
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疼痛緩和目的のオピオイド投与
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腹水穿刺による症状緩和
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服薬支援(薬剤師による一包化・残薬管理)
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終末期加算を活用した訪問看護による日々の観察
■ 支援のポイント
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独居高齢者であっても、多職種が24時間体制を組むことで在宅療養が可能になる
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家族が遠方在住の場合、支援者間での密な情報共有が不可欠
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終末期の本人希望を叶えるには、医療・介護・福祉が連携し、家族の心理的支援も含めた伴走が求められる
■ 考察
本事例は、独居で最期まで在宅を希望する患者に対して、チーム連携によって安心した看取りを実現できた好例である。
急変や介護負担への不安を軽減しつつ、本人の意向を尊重した支援を行うことで、本人・家族双方に「悔いのない最期」を提供できた。
在宅医療の意義は「生活の場で本人の希望を叶えること」であり、多職種連携がその実現に不可欠であることが改めて示された。
■ 付記情報
疾患種別:肝疾患・腫瘍性疾患
病名:肝細胞がん末期、腹水貯留、肝性脳症
医療処置:疼痛緩和(オピオイド)、腹水穿刺、服薬管理
エリア:名古屋市熱田区
生活環境:独居、姪が遠方より支援
医療負担割合:1割
専門医介入:該当なし
公費負担医療:該当なし
障害者手帳・認定情報:該当なし