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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/09/03

「通院が呼吸苦につながる居住環境。夫婦二人暮らしで在宅療養を模索したケース」

■ 基本情報
年齢・性別:80歳・女性
居住地:名古屋市千種区
家族構成:夫と二人暮らし。長男は近隣在住。
保険・福祉情報:後期高齢者医療保険(1割負担)、丸福あり、身体障害者手帳3級、要介護5

■ 主病・健康状態
主病:間質性肺炎
数年前に診断を受け、当初はかかりつけ医と基幹病院での通院管理を継続していた。
しかし、症状は徐々に悪化し、軽い労作でも呼吸苦を伴うようになった。
住まいがエレベーターのない集合住宅であり、通院には階段昇降が必須となる環境であったため、外出自体が病状悪化の引き金になっていた。
通院の際には酸素使用量も増え、体力を大きく消耗していた。

■ ケアマネが抱えていた課題

  • 主介護者である夫も高齢で、介護負担が大きくなっている
  • 通院時の階段昇降が大きなリスクで、在宅療養への切り替えが望ましい状況
  • 薬の受け取りや体調変化への対応は夫のみが担っており、不安を抱えていた
  • 医療的なフォロー体制が乏しく、在宅療養を選択する上で不安が残っていた

■ 訪問診療開始の経緯
本人と夫は「できるだけ自宅で過ごしたい」という希望を持っていたが、従来は通院以外に選択肢がないと考えていた。
ケアマネが訪問診療という仕組みを提案したことで「可能であればぜひお願いしたい」との希望が生まれ、当院へ相談が入った。
基幹病院の主治医にも夫から状況を説明し、了承を得た上で、訪問診療を導入することとなった。

■ 介入内容と経過

  • 月2回の定期訪問でバイタル・呼吸状態・内服調整を実施
  • 酸素療法の状況を確認し、体調変化のモニタリングを継続
  • 診療ごとにレポートをケアマネへ送付し、介護サービス提供者と情報を共有
  • 通院が不要となり、夫の身体的・精神的負担が軽減
  • 急変時は往診対応を行い、必要に応じて基幹病院と連携し搬送可能な体制を整備

■ 支援のポイント

  • 通院困難の背景として、呼吸苦と階段昇降など居住環境要因を的確に把握することが重要
  • 高齢夫婦二人暮らしでは、介護力の限界が早期に課題となるため、医療介入が支えとなる
  • ケアマネにとって「医療的フォロー体制がある」ことが安心材料となり、在宅継続の現実性を高める

■ 付記情報
疾患種別:呼吸器疾患
病名:間質性肺炎、高血圧症など併存
医療処置:該当なし
エリア:名古屋市千種区
生活環境:夫と二人暮らし、集合住宅(階段昇降あり)
医療負担割合:1割
専門医介入:基幹病院フォロー歴あり
公費負担医療:丸福適用
障害者手帳・認定情報:身体障害者手帳3級