コラム2025/08/25
「脳梗塞後遺症を抱える高齢男性、複数疾患を併存しながら在宅生活を継続」
■ 基本情報
年齢・性別:88歳・男性
居住地:名古屋市中区
家族構成:本人と長男の二人暮らし。妻は他界。次男は市内守山区に在住。
■ 保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
介護保険:要介護3(1割負担)
■ 診断名
・脳梗塞後遺症(右不全麻痺)
・高血圧症
・間質性肺炎
・頻尿症
・下肢浮腫(リンパ浮腫疑い)
・右内腸骨動脈瘤
■ 導入の背景
過去に複数回の脳梗塞を発症し、脳神経内科で長期にわたり経過観察を受けていた。併せて皮膚科や耳鼻科にも通院していたが、通院そのものが次第に困難となり、在宅での医療管理が必要と判断された。紹介を受け、訪問診療を導入することとなった。
■ 介入内容と経過
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脳梗塞後遺症
右不全麻痺が残存しており、Bリハビリテーション病院への通院で継続的にリハビリを実施している。クロピドグレルとランソプラゾールの内服を継続。 -
高血圧症
バルサルタンを内服中。夜間の起坐呼吸が出現したため、利尿薬を追加処方。血圧・症状を注意深くフォロー。 -
間質性肺炎
画像上で指摘あり。高齢であることから積極的治療は行わず経過観察。現時点で自覚症状はなし。 -
頻尿症
漢方薬(八味地黄丸)を継続処方。 -
下肢浮腫
下腿浮腫が悪化することがあり、心エコーや下肢静脈エコーを実施。血栓はなく、軽度の静脈弁不全と判断され、リンパ浮腫が疑われている。 -
右内腸骨動脈瘤
入院中に偶発的に発見された。血管外科でフォロー中。最新のCTでは径30mm。
■ 医療対応の詳細
・内服調整(抗血小板薬、降圧薬、利尿薬、漢方薬)
・リハビリ通院と訪問診療の併用
・循環器・血管外科での専門医フォロー継続
・定期的な身体所見確認(血圧、呼吸状態、下肢浮腫)
■ 支援のポイント
・複数診療科にまたがる管理を在宅で一本化し、通院負担を軽減
・介護度が高く、長男との二人暮らしであるため、介護力と医療支援の両面からサポートを設計
・「症状の安定期における訪問診療の意義」が明確であり、今後の急変時にも対応可能な体制を準備
■ 考察
本事例は、脳梗塞後遺症を中心に複数の慢性疾患を抱える高齢男性に対し、在宅医療が通院負担の軽減と生活の安定に寄与したケースである。特に、複数診療科での分散的な管理を在宅医療が統合することで、患者・家族にとって安心できる支援体制を構築できた。今後は疾患進行や急変時の対応を視野に入れ、訪問診療と専門医フォローを併走させることが重要である。
■ 付記情報
疾患種別:脳血管疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、泌尿器疾患
病名:脳梗塞後遺症、高血圧症、間質性肺炎、頻尿症、下肢浮腫、右内腸骨動脈瘤
医療処置:該当なし
エリア:名古屋市中区
生活環境:長男と同居。妻は他界。次男は市内在住。
医療負担割合:1割
専門医介入:神経内科・血管外科通院歴あり
公費負担医療:該当なし
障害者手帳・認定情報:該当なし