在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/08/19
在宅酸素療法中のCOPD患者に対する訪問診療の導入と支援
■ 基本情報
年齢・性別:81歳・男性
居住地:名古屋市中村区
家族構成:長男夫婦と同居
■ 保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
介護保険:要介護1(1割負担)
■ 診断名
COPD(重症)
高血圧症
胃潰瘍
■ 導入の背景
外来で在宅酸素療法を開始していたが、酸素ボンベを持っての移動は強い息切れを伴い、通院後は数時間動けなくなることもあった。
特に冬季には呼吸困難が増悪し、救急搬送を要する事態が生じた。
主治医から訪問診療導入の提案があり、急変時対応への不安を抱えていた家族も即座に導入を希望した。
■ 介入内容と経過
訪問診療では、酸素流量の適正化を行い、吸入薬の使用方法を改めて確認した。
診療ごとにSpO₂、呼吸数、呼吸音を測定し、痰の性状や量の変化を家族と共有。
感染兆候が出現した際には、即日で抗菌薬を処方し、急変の重症化を予防した。
さらに管理栄養士と連携し、低栄養を予防するために高カロリー・高たんぱく食を導入した。
■ 医療対応の詳細
・酸素流量の調整
・吸入薬使用法の再指導
・バイタルサインと呼吸状態の定期評価
・感染兆候出現時の迅速な抗菌薬処方
・栄養指導(高カロリー・高たんぱく食の提案)
■ 支援のポイント
・在宅酸素療法導入患者では、通院そのものが心身の負担となるため、在宅診療体制が不可欠
・感染徴候の早期対応が急変回避につながる
・家族との情報共有と急変時対応の手順確認が安心感を高め、介護継続意欲を支える
・管理栄養士を含む多職種連携により、呼吸機能維持と全身状態の安定を図る
■ 考察
本事例は、重症COPD患者における在宅酸素療法下での訪問診療導入が、急変時対応の不安軽減と生活の質向上につながった例である。
通院困難例では、医療チームが在宅で酸素療法管理・感染予防・栄養支援を行うことで、入院リスクを減らし、安心した在宅生活の継続を可能とする。
■ 付記情報
疾患種別:呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患
病名:COPD(重症)、高血圧症、胃潰瘍
医療処置:該当なし
エリア:名古屋市中村区
生活環境:長男夫婦と同居
医療負担割合:1割
専門医介入:呼吸器内科通院歴あり
公費負担医療:該当なし
障害者手帳・認定情報:該当なし