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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/08/19

視力障害と転倒リスクを抱える糖尿病性網膜症患者への在宅支援

■ 基本情報
年齢・性別:77歳・男性
居住地:名古屋市東区
家族構成:妻と二人暮らし
生活背景:両眼とも視力0.1以下で、失明に近い状態

■ 保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
介護保険:要介護2

■ 診断名
糖尿病性網膜症
慢性心房細動
脂質異常症

■ 導入の背景
長年通院していた眼科からの帰り道に段差で転倒し、大腿骨骨折を受傷。入院・手術を経て退院したが、外出に対する恐怖心が強まり、通院回数が減少していた。
妻も腰痛を抱えており、介助は困難で、日常生活全般に不安が増していた。
ケアマネが訪問診療を提案した際、本人は「家まで来てもらうのは申し訳ない」とためらった。
しかし、再び転倒すれば長期入院のリスクがあることや、自宅で採血や心電図が可能であることを説明。夫婦で話し合った結果、訪問診療導入を決断した。

■ 介入内容と経過
訪問診療では、抗凝固薬の服薬管理を訪問看護と連携して実施し、飲み忘れや重複服薬を防止。
自宅で採血・心電図を行い、脈拍や血糖値の変動を把握できる体制を整えた。
薬のシートカットや整理は看護師が行い、妻の負担を軽減した。

■ 医療対応の詳細
・抗凝固薬を含む内服薬の管理と調整
・訪問看護と連携した服薬支援、残薬確認
・在宅での採血・心電図検査の実施
・妻の介護負担軽減を目的とした服薬整理支援

■ 支援のポイント
・視力障害による転倒リスクを回避するため、在宅医療を導入
・服薬管理の仕組みを医療者が担い、介護者の身体的・精神的負担を軽減
・在宅検査の実施により、通院困難例でも病状を継続的に把握

■ 考察
本事例は、視力障害による外出困難と転倒リスクが在宅医療導入の大きな要因となった。
在宅で採血や心電図を行うことにより、通院に伴う不安を解消しながら病状を管理でき、入院リスクを低減することが可能となった。
また、服薬支援を訪問診療と看護で担うことで、妻の介護負担が軽減され、生活全体の安定につながった。

■ 付記情報
疾患種別:循環器系疾患、代謝性疾患、視覚障害関連
病名:糖尿病性網膜症、慢性心房細動、脂質異常症
医療処置:該当なし
エリア:名古屋市東区
生活環境:妻と二人暮らし、視力障害あり
医療負担割合:1割
専門医介入:眼科通院歴あり
公費負担医療:該当なし
障害者手帳・認定情報:該当なし