コラム2025/08/15
「訪問診療と住宅改修のタイミング」〜医療と住環境の視点をリンクさせる〜
在宅生活を長く続けるために必要なものは、薬や医療だけではありません。
「住環境」もまた、生活を支える大きな柱です。
病状や加齢で足腰が弱くなれば、家の中の小さな段差や浴室の滑りやすさが命取りになります。
転倒や骨折からの入院、そしてそのまま施設入所へ…という流れは珍しくありません。
訪問診療医は病状の経過を見ながら、今後の身体機能低下を予測できます。
「半年後には歩行が難しくなる」「入浴動作が危険になる」といった見通しをケアマネやリハ職と共有することで、住宅改修のベストタイミングを逃さずに済みます。
◆ 制度解説
介護保険の住宅改修(上限20万円)は手すり、段差解消、滑り止めなどが対象
主治医意見書と連動することで申請がスムーズになる場合あり
改修後も訪問診療が身体機能を継続評価し、追加改修の提案が可能
◆ 導入事例
74歳男性(パーキンソン病)。診察中、医師が「半年以内に歩行困難になる可能性が高い」と判断。
ケアマネとリハ職に早期共有し、浴室手すり設置と段差解消を実施。結果、転倒が激減し、在宅生活を2年以上延長できました。
本人は「もし改修していなかったら、もっと早く施設に入っていた」と振り返ります。
◆ まとめ
訪問診療は、病状の“これから”を見据えて住宅改修を提案できる医療です。
医療と住環境を一緒に整えることは、在宅生活の持続力を大きく高めます。