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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/07/15

浮腫の改善が難航した独居高齢者、転倒を契機に施設入所へ移行

基本情報
年齢・性別:84歳・男性
居住地:名古屋市中村区
家族構成:独居(長女・次女が市内在住。長女が近隣で主に支援)
保険情報:後期高齢者医療(1割負担)、要介護3(1割負担)、福祉給付金あり

導入の背景
元々、N病院の循環器内科にて心疾患の通院治療を継続していたが、下肢の浮腫が慢性化し、歩行も困難になりつつあった。
通院継続が難しくなったことと、家族の希望もあったことから、在宅療養を支える目的で訪問診療が導入された。

介入内容と経過
訪問開始後は、浮腫に対して内服薬の調整を行いつつ、「足を上げる」「体を動かす」などの生活上の工夫も併用した。
ただし、前医での治療歴や低アルブミン血症の影響もあり、改善は困難であることを家族に説明し、状態の維持を支える方針とした。
その後も浮腫の改善は見られなかったが、訪問診療により日常的な見守りと医療支援を継続していた。

支援のポイント
浮腫のような慢性症状に対しては、医学的限界をふまえつつ、状態の変化を早期に察知できる体制づくりが重要である。
家族と状況を丁寧に共有し、日々の小さな変化にも対応できる支援体制が、重症化の予防につながる。

その後の経過
在宅療養を続けていたが、ある日ベッドからの転落があり、緊急搬送。入院加療を経て、退院後は施設入所となった。
訪問診療の支援は、この転倒をきっかけに終了となった。

考察
慢性症状が中心のケースでは、医療的な改善が困難なことも多く、「状態を維持しながら暮らしを支える」視点が求められる。
また、独居高齢者においては、急な転倒などを契機に生活の場が大きく変わることも多く、早期から多職種による情報共有と連携体制を整えておくことの重要性を再認識させられるケースであった。

付記情報

疾患種別:循環器疾患・外傷後遺症

病名:陳旧性前壁中隔心筋梗塞、左室内血栓、全身熱傷後、外傷性慢性硬膜下血腫術後

医療処置:やけどの処置

エリア:名古屋市中村区

生活環境:独居、家族(長女)による定期的な支援あり

医療負担割合:1割

専門医介入:循環器内科による通院歴あり

公費負担医療:福祉給付金対象

障害者手帳・認定情報:要介護3