在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/07/15
施設入所を希望していたが、結果的に在宅療養が長期継続できたケース
基本情報
年齢・性別:88歳・女性
居住地:名古屋市中川区
家族構成:独居(キーパーソン:市内在住の三男)
保険情報:後期高齢者医療(1割)/要介護2(1割)
導入の背景
長年、糖尿病などの慢性疾患で外来通院を継続していたが、自宅での転倒による右大腿骨転子部骨折を契機に、手術・リハビリ入院を経てADLが改善。在宅復帰となったが、通院が困難なことから訪問診療を導入した。
当初から本人には施設入所の希望があり、支援体制もその方向で検討されていたが、在宅生活を続ける中で次第に自信が芽生え、結果的に長期の在宅療養が実現した。
介入内容と経過
訪問診療では、内服管理や体調観察を中心とした医療的フォローを実施。特別な医療処置は行っていない。
独居であることから急変時の対応も含めた体制を構築しながら支援を継続していたが、ある時期から頻尿・倦怠感・摂食困難といった症状が出現。
家族不在の中、本人の体調悪化が確認され、外部病院への入院となった。診断は偽痛風で、治療後に当院へ転院。その後、本人の希望も踏まえ、施設入所に向けた準備が進められた。
支援のポイント
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初期から施設希望があるケースでも、在宅療養を一定期間経験する中で、本人の生活意欲が高まることがある。
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施設入所ありきではなく、在宅での支援を丁寧に継続することが、本人の選択肢を広げる結果につながる。
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結果的に施設入所となったが、急変対応と入所移行までの過程を在宅支援で丁寧に支えることができた点は、医療的介入の重要性を示す事例である。
考察
本人の意思を尊重しながら支援を続けた結果、在宅療養を通じて生活への自信を取り戻す時間を持つことができた。本ケースは、初期の本人意向に即した支援と同時に、状況に応じた柔軟な支援方針の見直しが、結果として本人にとって最善の生活選択につながった一例である。
付記情報
疾患種別:慢性疾患
病名:2型糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、便秘症、アレルギー性鼻炎、偽痛風(入院時)
医療処置:訪問診療中はなし(入院中に検査・加療)
エリア:名古屋市中川区
生活環境:独居、施設入所希望あり
医療負担割合:1割
専門医介入:入院中に対応
公費負担医療:なし
障害者手帳・認定情報:記載なし