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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/07/15

慢性疾患と精神疾患を併せ持つ独居女性のケース

基本情報
年齢・性別:74歳・女性
居住地:名古屋市昭和区
家族構成:独居(離婚歴あり)/長女・次女が近隣に在住
保険情報:生活保護受給中/要介護1(介護保険1割負担)

導入の背景
本事例のご本人は、心疾患や腎機能障害などの慢性疾患に加え、うつ病による精神的不安定さを背景に、体調に対する強い不安を抱えていた。長年、複数の医療機関に通院していたが、足の痛みなど身体的制限が加わり、通院が困難に。生活保護を受給しつつも、孤立感と体調変動に対する不安が強く、頻繁な救急搬送を繰り返すようになった。

2024年1月より訪問診療を開始。精神的サポートも求められる中、同年8月より精神科的介入も開始した。

介入内容と経過
現在、特別な医療処置は実施していないが、定期的な訪問診療と併せて、訪問看護との密な連携を継続している。訪問看護師のこまめな関わりと、医療者間の情報共有により、体調への不安や主訴の変化を迅速に察知し対応できる体制を構築。

うつ症状に起因した身体不調の訴えに対しても、必要以上に受診や搬送に至らないよう、精神的な支えと安心感の提供を意識した支援が続けられている。

支援のポイント

  • 精神科との連携により、うつ症状に起因した身体訴えへの対応力を強化

  • 救急依存を防ぐため、訪問看護による定期的なフォロー体制を確立

  • 通院困難な患者でも、自宅で安心して療養できる環境づくりを重視

考察
本ケースは、身体的疾患と精神疾患が複雑に絡み合うことで、在宅療養の安定を阻害していたが、訪問診療と看護の多職種連携により、救急搬送依存から脱却できた好例といえる。

特に、うつ病による「体調変化への過剰な不安」に対応するには、医療者の関わり方が鍵となる。こうしたケースでは、訪問診療を単なる医療提供の手段に留めず、「安心感の土台」として活用することが重要である。

付記情報

  • 疾患種別:循環器疾患、精神疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患

  • 病名:うつ病、慢性心不全、慢性腎臓病、高血圧、PAF、気管支喘息、甲状腺機能低下症ほか

  • 医療処置:なし(精神科介入・訪問看護連携あり)

  • エリア:名古屋市昭和区

  • 生活環境:独居、家族との接触あり

  • 医療負担割合:後期高齢者医療(1割)/生活保護受給

  • 専門医介入:精神科

  • 公費負担医療:生活保護適用

  • 障害者手帳・認定情報:該当なし