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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/07/08

独居・るいそう傾向の男性 通院継続が困難となり、在宅医療へ移行

基本情報
年齢・性別:80歳・男性
居住地:名古屋市守山区
家族構成:独居(独身)。兄弟は5人おり、1名が県内在住、他は遠方
保険・制度情報:生活保護受給中/要介護1(1割負担)


導入の背景
長年、近隣医療機関での通院を続けていたが、加齢に伴う体力低下やるいそうの進行により、救急搬送の機会が増加。
腰痛や脱水といった症状を繰り返すなかで、外来通院自体が負担となっていた。
屋外での転倒搬送を機に、「医療を生活の中に組み込む必要がある」と判断され、訪問診療の導入に至った。


介入内容と経過
訪問診療開始時には、食事や排泄などの基本的ADLは自立しており、外出も短距離なら可能な状態であった。
一方で、水分摂取や食欲の低下が継続し、脱水傾向への備えが求められた。
医師による定期訪問により、体調の変化を見逃さず、急変時にも適切な判断が行える体制が整った。


支援のポイント

  • 「通院困難」ではなく「通院が限界に近づいている段階」での介入

  • 見守りと状態変化の早期把握を目的とした支援体制

  • 医療処置よりも生活全体の安定を重視したフォロー設計


考察
このケースは、まだ自立的な生活が成り立っている段階であっても、在宅医療を「予防的」かつ「見守り的」に活用することで、支援の質を高められることを示している。
訪問診療は、生活の中の“異変の兆し”を医療的にとらえ、適切なタイミングで支援の方向転換を行ううえで、大きな役割を果たしている。


付記情報
疾患種別:循環器疾患、末梢血管疾患、栄養障害
病名:高血圧症、下肢閉塞性動脈硬化症、るいそう
医療処置:なし(内服管理と生活観察中心)
エリア:名古屋市守山区
生活環境:独居(独身)
医療負担割合:生活保護(自己負担なし)
専門医介入:なし(通院歴あり)
公費負担医療:生活保護
障害者手帳・認定情報:記載なし