コラム2025/06/17
便秘解消と腸内環境改善のポイント! 高齢者の生活の質を支える日常ケアとは?
高齢者にとって、便秘はよくあるが見過ごせない健康課題のひとつです。
腸の蠕動(ぜんどう)運動の低下、運動不足、水分や食物繊維の不足、薬の影響などが重なり、慢性化しやすくなります。
便秘は単なる不快感にとどまらず、食欲不振や腹痛、倦怠感、免疫力低下、そして生活の質(QOL)の低下にまで影響を及ぼします。
今回は、便秘の主な原因と、現場で取り入れやすい改善ポイントを整理します。
■ 便秘の主な原因
- 食物繊維の不足
特に不溶性食物繊維が不足すると腸の動きが鈍くなり、排便が困難になります。 - 水分不足
高齢者はのどの渇きを感じにくいため、気づかぬうちに水分不足が進行します。 - 運動不足
身体活動の低下は腸の動きにも影響します。とくに寝たきりや座りがちの方は注意が必要です。 - 薬の影響
抗コリン薬・鎮痛薬・降圧薬など一部の薬には便秘を引き起こす副作用があります。 - ストレス・環境要因
自律神経の乱れや、トイレ環境への不安・緊張も便秘に関係します。
■ 解消のための具体的なケアポイント
1.食物繊維のバランス摂取
- 不溶性:便の量を増やし、腸の動きを活発に
例:玄米・きのこ・根菜・豆類 - 水溶性:便をやわらかくし排便をスムーズに
例:海藻・オクラ・バナナ・りんご
👉 1日20g以上を目安にバランスよく取り入れましょう。
2.水分補給の習慣化
- 目標は1.5〜2リットル/日(食事以外で)
- 朝起きたときのコップ1杯の水が効果的
- 飲みにくい方にはトロミ剤やゼリー飲料の活用も
3.腸を動かす軽い運動
- ウォーキング:1日15~30分
- 腹式呼吸:腸をやさしく刺激
- 腹部マッサージ:「の」の字に軽くさする
4.排便リズムの定着
- 便意を我慢せず、決まった時間にトイレへ
- トイレ環境を整えることで、心理的な負担軽減に
5.腸内環境の整備
- 発酵食品(ヨーグルト・納豆・キムチなど)
- オリゴ糖(善玉菌のエサになる)
- 乳酸菌・ビフィズス菌の摂取習慣を日々の食事に
■ 支援現場で活かせる観察と工夫
✅ 食事内容に食物繊維や発酵食品が含まれているか
✅ 水分摂取量が足りているか
✅ トイレ習慣や排便の頻度・状態を定期的に確認
✅ 服薬内容と便秘の関連性を医師・薬剤師と共有
これらの観察や声かけが、排便トラブルの早期発見と予防につながります。
■ まとめ
便秘は「高齢だから仕方ない」ものではなく、生活の質に直結する重要なケア項目です。
適切な食事・水分・運動・排便習慣の支援により、
高齢者の快適な日常生活と腸内環境の安定を後押しすることができます。
現場では「気づき」と「つなぎ」が大切です。
日々の支援の中で、小さな変化を見逃さず、医療職・家族と連携しながら、
無理なく自然な排便習慣を支えていきましょう。