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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

高齢者の脱水を防ぐために!夏を無事に乗り切る生活支援のポイント

コラム2025/06/16

高齢者の脱水を防ぐために!夏を無事に乗り切る生活支援のポイント

夏場は高齢者にとって、体調を崩しやすい要注意の季節です。
中でも「脱水症状」は、命に関わるリスクを伴う深刻な問題です。

のどの渇きを感じにくく、汗をかいても気づかない。
さらに食欲が落ちれば、水分も食事から取りにくくなります。
知らぬ間に進行し、気づいたときには搬送が必要な状態に……。

今回は、高齢者の脱水を防ぐために現場でできる支援をまとめました。

高齢者が脱水を起こしやすい理由

高齢者は若年層に比べて、脱水になりやすい身体的特徴があります:

  • のどの渇きへの感覚が鈍くなる
  • 腎機能の低下により水分保持が難しい
  • 利尿剤や降圧剤の影響で水分が排出されやすい
  • 嚥下機能の低下や認知症で水分摂取が少ない

これらが重なることで、脱水リスクは年々高まります。

脱水の“見逃しサイン”に注意

次のような症状が見られたら、すでに脱水が進行している可能性があります:

  • 口の中が乾いている、舌が白っぽい
  • 尿量が減る、色が濃い
  • 微熱・倦怠感・頭痛・ぼんやりした意識
  • 皮膚のハリがなくなる

「いつもと少し違う」変化を感じたら、早めの水分補給や医療連携が重要です。

日常生活でできる水分補給の工夫

脱水を予防するためには、「のどが渇く前」に飲む習慣が大切です。

  • 1日1.5〜2リットルの水分摂取を目安に(食事以外)
  • 麦茶・経口補水液・ゼリー飲料などを活用
  • 飲みにくい方にはトロミ剤や吸いやすい容器を工夫
  • 時間を決めて飲む・好きなコップを使う・声かけする

小さな習慣の積み重ねが、無理なく自然な水分補給につながります。

環境整備も「脱水予防」の一環

  • 室温は28℃以下、湿度は50〜60%が目安
  • エアコンと扇風機を併用して快適な空間に
  • 通気性のよい衣類・寝具を使用
  • 就寝前・起床後の水分補給も忘れずに

「電気代が心配」「冷えすぎが不安」という声もありますが、
**命を守るための空調管理は“必要な備え”**として考えましょう。

まとめ:脱水は“防げる危機”です

高齢者本人が気づきにくい分、支援する側の観察と声かけが命を守ります。

  • こまめな水分補給の習慣化
  • ちょっとした変化への早めの対応
  • 快適な生活環境の維持

「水分、とってくださいね」の一言が、大きな事故を防ぐ力になります。

暑さに負けず、安全で安心な夏を一緒に支えていきましょう。