コラム2025/06/13
長く安心して介護を続けるために介護者が倒れる前にできること
在宅介護において、ご本人を最も近くで支えているのは、ほかでもないご家族です。
日々の生活の中で、介護を担う方の努力と献身には本当に頭が下がります。
けれども、介護は数日や数週間で終わるものではなく、年単位で続くことも少なくありません。
だからこそ、「介護する人」が健康でいられることが、最も大切な土台となります。
今回は、“介護者が倒れる前にできること”をテーマに、制度の活用と環境づくりの視点から整理します。
長引く介護と、介護者に生じるリスク
介護は、食事や排泄などの身体介助だけでなく、見守り、通院の付き添い、金銭管理、さらには精神的な支えなど、多岐にわたります。
とくに次のような状況にあてはまる場合、知らず知らずのうちに心身が疲弊していることがあります:
- 睡眠不足や食事の偏りが続いている
- 外出や趣味の時間がほとんど取れない
- 誰にも相談できず、一人で抱えている
- 医療や介護の専門職との関わりがない
これらが積み重なると、**「介護うつ」や「共倒れ」**のリスクが高まります。
何より、ご本人を支える介護者が倒れてしまうと、介護の継続自体が困難になります。
活用できる制度やサービスを知る・使う
介護者がすべてを背負い込まなくて済むように、地域にはさまざまな支援策があります。
大切なのは、「もう限界」となる前に、早めに情報を得て、段階的に利用することです。
以下のような支援制度は、必要に応じて組み合わせて使うことができます:
- 地域包括支援センター:介護全体の相談窓口
- ケアマネジャー:介護保険サービスの調整役
- デイサービス/ショートステイ:一時的に介護を任せる選択肢
- 訪問診療・訪問看護:通院の負担を軽減し、医療的な安心を確保
- レスパイトケア:「介護者の休息」を支援する短期利用サービス
「介護を一人で抱えないこと」が、介護を続けていくための現実的な戦略です。
介護者の健康管理も“介護の一部”
「自分のことは後回しでいい」と思いがちですが、介護者自身が倒れてしまえば、介護は成り立ちません。
介護を持続可能なものにするためにも、**自分の通院や睡眠、食事や休息の確保も“ケアの一環”**と捉えてください。
家族がすべて担う時代から、“支え合う”時代へ
近年は、医療・介護・地域福祉が連携し、「チームで支える介護」が主流になりつつあります。
介護者の役割は、**“全部やること”ではなく、“支援をつなげていくこと”**へと変わり始めています。
家族だけで頑張らなくてもいい。必要な人と、必要なタイミングで、つながればいいのです。
まとめ:頼ることは、介護を続けるための“責任ある選択”
「頼ってはいけない」「弱音を吐けない」——そう感じる方もいるかもしれません。
でも、支援を受けることは、“逃げ”ではありません。
それは、ご本人と自分自身を守るための前向きな選択であり、「倒れないための準備」でもあります。
地域の仕組みや専門職とつながりながら、無理なく、安心して続けられる介護のかたちを一緒に築いていきましょう。