在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/06/06
独居・要介護3・認知症あり|医療処置なしで在宅生活を継続中
■ 基本情報
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年齢・性別:87歳・女性
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居住地:名古屋市中川区
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家族構成:独居。キーパーソンは隣接市在住の長女。長男は他県在住。
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保険・制度:後期高齢者医療保険(1割負担)、要介護3(1割負担)、福祉給付金あり
■ 導入の背景
夫の死後、本人は自宅での独居生活を継続していたが、転倒による骨盤骨折や体調不良が重なり、日常生活動作(ADL)の低下が進行した。通院が困難となり、入退院・転院を経て自宅に退院。訪問看護の導入により支援体制が整えられたものの、外来通院の継続が難しくなったため、訪問診療への切り替えを希望された。多疾患を抱えるなかでも、本人の在宅生活を望む意思が明確であったことから、当院にて訪問診療を引き継ぎ、現在に至っている。
■ 介入内容と経過
訪問診療の開始以降、大きな体調の変化はなく、在宅療養は安定して継続されている。医療処置は必要とせず、主に服薬管理と定期的な健康状態のモニタリングを行っている。住環境の調整や生活習慣への配慮を通じて、本人にとって無理のない生活が維持されている。隣接市在住の長女が定期的に訪問しており、日常的な困りごとへの対応も柔軟に行われている。
■ 医療対応の詳細
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主病:腰部脊柱管狭窄症、右変形性膝関節症、右股関節痛、末梢性神経障害性疼痛、脂質異常症、アルツハイマー型認知症、鉄欠乏性貧血、慢性胃炎、気管支喘息
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医療処置:なし(服薬管理および経過観察が中心)
■ 支援のポイント
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環境と状態に応じた支援設計:身体機能と認知機能の変化に対応し、無理のない生活動線および支援体制を構築した。
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ご家族との情報連携:長女と定期的に情報共有を行い、生活状況の変化や支援ニーズに迅速に対応できる体制を整えた。
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医療的負担の最小化:定期的な医師の訪問診察を通じて、急性増悪の予防と安定維持を図り、処置なしの在宅療養を実現している。
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制度の活用:介護保険および福祉給付制度を適切に活用し、経済的・生活的な安定を支援した。