コラム2025/05/30
認知症予防と進行防止に向けた生活支援の工夫
認知症は進行性の疾患である一方、日々の生活習慣や環境によって、その進行を緩やかにすることができるとされています。特に高齢者の生活を支える場面では、予防的な視点をもって支援を行うことが重要です。ここでは、日常のケアや関わりの中で取り入れやすい、認知症予防・進行防止のための生活支援のポイントを整理します。
脳の活性化を促す関わりをつくる
簡単な計算、パズル、読書、裁縫や将棋などの趣味活動は、脳の刺激に効果的です。大切なのは「好きなこと」「楽しめること」に継続的に取り組める環境を整えること。「最近どんな本を読まれていますか?」「これは昔から続けている趣味ですか?」といった声かけが、自然な会話の中での刺激になります。
人とのつながりを絶やさない
認知症の進行は、社会的な孤立とも関係しています。誰かと話すこと、関心を共有すること、笑い合うことが、心と脳の両方の刺激になります。地域のサロンや体操教室、家族・友人との交流、ボランティア活動など、つながりのきっかけを紹介することも支援のひとつです。
生活リズムを整えるサポート
起床・食事・運動・就寝といった基本的な生活リズムの安定は、認知機能の維持に直結します。特に運動は、軽いウォーキングやストレッチでも継続すれば効果が期待できます。無理なく、毎日続けられるような習慣づくりの提案が重要です。
食事内容にもひと工夫を
認知症予防には、脳の健康を支える栄養素の摂取がポイントです。青魚に含まれるDHA・EPA、ビタミンB群、ポリフェノールなどが含まれた食品を意識的に取り入れると良いとされています。咀嚼力や嚥下機能に応じて食形態を調整しながら、栄養バランスを整えましょう。
まとめ
日常の“ちょっとした関わり”が認知症予防につながります。
- 脳を使う活動や会話を日常に取り入れる
- 社会とのつながりを継続できるよう支援する
- 睡眠・運動・食事を含めた生活リズムを整える
- 食事の内容にも目を向け、栄養面での支えを行う
認知症の進行は完全には止められませんが、適切な生活支援を続けることで、ゆるやかにし、自立した生活期間を延ばすことができます。日々の関わりの中で、さりげなく実践できる支援が、本人の安心や意欲につながっていきます。現場の一人ひとりの観察と工夫が、長期的な予防につながる鍵となります。