コラム2025/05/28
夜間せん妄への対応と予防策
夜間せん妄は、高齢者や認知症の方によく見られる症状で、夜間に突然混乱や興奮を示すことがあります。環境の変化や体調、薬の影響などが引き金となり、入院中や施設でも問題になることが少なくありません。支援者として、予防と早期対応のポイントを理解しておくことが、安心できる生活環境を整えるうえで重要です。
夜間せん妄とは?
夜間せん妄は、夕方から夜間にかけて出現する急性の精神的混乱状態で、不安、幻覚、妄想、興奮などが主な症状です。寝ている場所から離れたり、突然徘徊したりと、生活に支障をきたす行動が見られることがあります。特に高齢者や認知症の方では、昼夜の区別がつきにくくなり、夜間に生体リズムが乱れやすいことが影響していると考えられます。
夜間せん妄を引き起こす主な要因
- 薬の副作用:特に抗不安薬、睡眠薬、抗コリン薬などが関与することがあります。
- 睡眠不足:質の悪い睡眠が続くと、脳の機能が低下しやすくなります。
- 疾患の進行や体調不良:発熱、脱水、感染症などがきっかけになることも。
- 環境の変化:部屋の移動や音、照明の変化などがストレスになります。
夜間せん妄の予防策
1. 睡眠環境を整える
静かで落ち着いた空間を確保し、快適な寝具と適切な室温を保ちましょう。就寝前の声かけや、薄明かりを活用するなどの工夫も効果的です。
2. 日中の活動を増やす
適度な運動や日光浴は、体内時計を整える効果があります。昼夜の区別を意識づけ、夜間の自然な眠りを促しましょう。
3. 医療的な評価を受ける
頻回にせん妄が起きる場合は、薬の調整や基礎疾患の確認が必要です。早めの医師相談がリスク軽減に繋がります。
- 利用者が混乱しているときは、急な動作や大声は避け、落ち着いた声でやさしく接することが基本です。
- 手を握る、背中に手を添えるなどの身体接触も、本人の安心につながる場合があります。
- 状況に応じて、複数名で安全に見守る体制を取りましょう。
まとめ
夜間せん妄は、身体・精神・環境の要素が複雑に絡み合って発症するため、単独の対処ではなく、多職種での観察と共有が求められます。睡眠環境の整備や日中の活動量の確保、医療との連携によって、症状の軽減や予防につながります。
支援者が安心できる環境を意識して整えることで、利用者の生活の質の向上にも大きく貢献できます。