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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

まだできる、今日からできる認知症予防につながる暮らしの工夫

コラム2025/05/12

まだできる、今日からできる認知症予防につながる暮らしの工夫

高齢化が進む中、2025年には認知症の方が約700万人に達すると予測されています。認知症は進行性の疾患であり、いったん発症すると完治は難しいとされていますが、生活習慣を見直すことで、進行を遅らせることは可能です。

今回は、認知症の進行を早めやすい要因と、その予防に役立つ生活習慣をご紹介します。

認知症の進行を早めるおもな要因

  • 運動不足:脳への血流が滞り、認知機能の低下が進みます。
  • 栄養不足:神経細胞の働きを保つ栄養素が不足すると、脳機能が低下しやすくなります。
  • 社会的孤立:人との交流が減ることで脳の刺激が少なくなり、機能が衰えやすくなります。
  • 睡眠不足:睡眠中に老廃物が排出されないと、脳への負担が蓄積されていきます。
  • 慢性的なストレス:強いストレスは脳の萎縮を招く可能性があるといわれています。

認知症の進行を抑える5つの生活習慣

1|運動を習慣にする

運動は脳の血流を促進し、神経細胞のはたらきを活性化させます。

  • 毎日20〜30分のウォーキング
  • ストレッチや軽い筋力トレーニング
  • ヨガや体操など、リズム運動も効果的

※無理のない範囲で、続けることが大切です。

2|栄養バランスのよい食事をとる

脳の健康には、日々の食事からの栄養が欠かせません。

  • DHA・EPA(青魚):神経細胞の構造維持
  • ビタミンB群(大豆、卵、豚肉):神経の働きをサポート
  • ポリフェノール(緑茶、ベリー類):酸化ストレスから脳を守る

※和食中心の食生活を意識すると、自然にバランスがとれやすくなります。

3|人との交流を続ける

会話や共同作業は、認知機能を刺激し、感情面の安定にもつながります。

  • 家族や友人とのコミュニケーションを意識する
  • 趣味サークルや地域活動への参加を促す
  • 電話やビデオ通話を活用し、交流機会を絶やさない工夫を

4|良質な睡眠を確保する

睡眠は、記憶の定着と脳の修復に重要な時間です。

  • 就寝・起床の時間を一定にする
  • 寝る前のスマホ・テレビは控えめに
  • 寝具や室温・照明など環境にも配慮を

※深い睡眠を得ることで、老廃物の排出が促され、脳のコンディションが整います。

5|脳を使う習慣を日常に取り入れる

脳は使い続けることで元気を保てます。

  • 読書・日記・計算・パズルなど、楽しみながら頭を使う活動を継続
  • 楽器・語学・料理など、新しいことへの挑戦も効果的

※「できた」「面白い」という感覚が脳に良い刺激になります。

まとめ

認知症の進行を抑えるには、「運動」「食事」「交流」「睡眠」「脳の活性化」という5つの柱を、日常の中に無理なく取り入れることがポイントです。
介護や支援の現場では、利用者一人ひとりの生活リズムや興味・特性に合わせた提案を行うことで、楽しみながら継続できる予防的ケアにつなげていくことができます。

“その人らしい生活”を支える視点から、生活習慣への働きかけを積み重ねていくことが、認知症ケアの大切な一歩です。