コラム2025/04/25
パーキンソン病に見られる2つの動き、振戦とジスキネジア、どう違う?
パーキンソン病の代表的な症状のひとつに、「不随意運動(自分の意思とは関係なく起こる動き)」があります。中でもよく混同されやすいのが「振戦(しんせん)」と「ジスキネジア」です。
この2つは見た目こそ似ていますが、原因や動きの特徴が大きく異なるため、正しく理解することが大切です。
振戦(しんせん)とは?
振戦は、一定のリズムで繰り返される震えのことを指します。パーキンソン病をはじめとした様々な病気で見られます。
振戦の種類と特徴:
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安静時振戦:
体を動かしていないときに現れる震え。
→ 例:手指をすり合わせるような「ピルローリング様振戦」など。
→ パーキンソン病に特徴的です。 -
姿勢時振戦:
腕などをある姿勢で保つときに出る震え。
→ 本態性振戦(家族性のことも)でよく見られます。 -
意図振戦:
何かに手を伸ばす動作など、目標に向かって動くときに震えが強くなる。
→ 小脳に関係する病気で見られることが多いです。
ジスキネジアとは?
ジスキネジアは、不規則で予測できない動きが繰り返される不随意運動です。
特に、パーキンソン病の治療薬(レボドパなど)を長く使った方に見られる「レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)」がよく知られています。
ジスキネジアの特徴:
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動きが不規則で流動的:
体がくねるように動いたり、口をモグモグ動かすなど、リズムが一定ではありません。 -
症状の出るタイミング:
レボドパの効果が最大になる時間帯に現れやすいです。 -
影響を受ける部位:
顔・舌・首・手足など広範囲。特に口周り(舌を出す・顎を動かす)に出ることも。
振戦とジスキネジアの違い
比較項目 | 振戦(しんせん) | ジスキネジア |
---|---|---|
リズム | 規則的 | 不規則 |
主な原因 | 病気そのもの(例:パーキンソン病) | 治療薬(レボドパなど)の副作用 |
よく見られる部位 | 手・指・顎など | 顔・口・舌・手足・体幹など |
出現タイミング | 安静時など、明確な条件下 | レボドパ効果が強く出ている時間帯 |
まとめ
振戦とジスキネジアは、どちらもパーキンソン病に関係する不随意運動ですが、見た目の違いだけでなく、原因や対処法も異なります。
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振戦:規則的な震えで、安静時に現れることが多い。
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ジスキネジア:不規則な動きで、薬の影響によって現れやすい。
例えば、「歯をカチカチ鳴らす動き」が一定のリズムなら振戦、リズムがバラバラならジスキネジアの可能性が高いといえます。
判断が難しい場合は、神経内科の専門医に相談することが大切です。早期の評価と対応が、今後の生活の質を守るカギとなります。