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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

高齢者の睡眠障害と改善策

コラム2025/04/21

高齢者の睡眠障害と改善策

 

 

高齢者において、睡眠障害はよく見られる問題であり、生活の質や健康に大きな影響を与えることがあります。睡眠の質が低下すると、日中の疲れや集中力の低下、さらには精神的なストレスや健康問題にもつながることがあります。今回は、高齢者に多い睡眠障害の原因と、それを改善するための方法を紹介します。

高齢者の睡眠障害の原因

加齢に伴う身体の変化

年齢を重ねることで、体内時計(サーカディアンリズム)が変化し、夜間の睡眠が浅くなりがちです。また、加齢により、深い眠り(ノンレム睡眠)が減少し、浅い眠り(レム睡眠)が多くなることがあります。このため、高齢者は夜間に何度も目を覚ますことが増え、睡眠の質が低下することがあります。

 健康状態や疾患の影響

高齢者は、慢性的な痛みや呼吸器の問題(例:睡眠時無呼吸症候群)、関節炎や心疾患などを抱えていることが多いです。これらの健康問題は、睡眠に大きな影響を与えることがあります。また、尿意が頻繁に起こるため、夜間にトイレに何度も起きることが睡眠を妨げる原因となります。

 薬の副作用

高齢者は、さまざまな薬を服用していることが多いため、薬の副作用が睡眠に影響を与えることがあります。特に、血圧を下げる薬や鎮静剤、抗うつ薬などは、眠気や不眠を引き起こすことがあります。薬の服用による影響を受けている場合は、医師に相談して調整を検討することが必要です。

ストレスや不安

高齢者にとって、孤独感や不安、環境の変化(引っ越しや親しい人との死別など)が睡眠障害の原因となることがあります。特に、夜間に考え事をして眠れないことが多く、心の健康にも影響を与えることがあります。

 睡眠障害の改善策

規則正しい生活リズムを作る

睡眠の質を改善するためには、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることが大切です。睡眠と覚醒のサイクルを一定に保つことで、体内時計が安定し、より良い眠りを促進します。特に、昼間に適度な活動を行うことが、夜間の睡眠に役立ちます。

 寝室の環境を整える

寝室の環境が快適でないと、睡眠が妨げられます。温度、湿度、照明に注意を払い、静かな空間を作りましょう。特に寝具の見直しや、寝室内の暗さも重要です。光を遮るカーテンを使用したり、音を遮断する耳栓やホワイトノイズを使うのも効果的です。

夕食のタイミングに注意する

寝る直前に食べ過ぎると、消化不良や胃の不快感で睡眠が妨げられることがあります。夕食は寝る2~3時間前に済ませることを心がけ、重い食事を避けるようにしましょう。また、カフェインやアルコールの摂取も、寝る前には控えめにした方が良いです。

リラックスする時間を作る

寝る前にリラックスすることが、良い睡眠を得るためには重要です。お風呂に入る、軽いストレッチや深呼吸を行う、リラックスした音楽を聴くなど、自分に合ったリラックス法を取り入れましょう。特に、ブルーライト(スマホやパソコンの光)は睡眠を妨げるため、寝る前には使用を控えることをお勧めします。

眠れない場合は無理に寝ない

もし眠れない場合、無理に寝ようとせず、静かな場所で読書や軽い体操を行うなどして、眠くなるのを待つ方が良いです。寝床で過ごす時間が長すぎると、逆に不安やストレスが増し、睡眠の質が悪化することがあります。

日中の昼寝を控える

高齢者は昼寝を取りがちですが、昼寝の時間が長すぎると、夜の睡眠に影響を与えることがあります。昼寝は15~30分程度にとどめ、午後遅くには避けるようにすると、夜の眠りが深くなりやすいです。

 まとめ

高齢者の睡眠障害は、加齢に伴う身体的な変化や健康問題、環境の変化などが原因となることがあります。良い睡眠を得るためには、規則正しい生活リズム、快適な寝室環境、リラックス法の導入が非常に効果的です。また、睡眠薬に頼るのではなく、生活習慣の改善を通じて自然な眠りを促すことが大切です。睡眠の質を向上させることで、日中の活力が増し、生活の質が向上します。睡眠問題に悩んでいる高齢者がいれば、早めに対策を講じて、快適な睡眠を取り戻しましょう。