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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

高齢者の転倒予防と安全対策

コラム2025/04/10

高齢者の転倒予防と安全対策

高齢者にとって転倒は、骨折や頭部外傷など重大なけがにつながるリスクがあります。一度の転倒が、その後の生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。

ただし、転倒は「予防できる事故」です。運動や住環境の工夫、日常のちょっとした配慮によって、リスクを下げることが可能です。ここでは、具体的な予防方法と、すぐに取り入れられる対策をご紹介します。


転倒しやすくなる主な要因

  • 筋力の低下:特に下肢の筋力が弱くなると、立ち上がりや歩行時にふらつきやすくなります。

  • 視力・バランス感覚の衰え:足元の段差や障害物に気づきにくくなることで、つまずきが増えます。

  • 薬の副作用や関節の痛み:眠気やふらつき、反応の遅れが転倒につながることもあります。


運動による転倒予防

筋力をつけるための簡単な運動

  • 足上げ運動:椅子に座って足を前に伸ばし、数秒キープ。太ももやふくらはぎの筋力維持に効果的です。

  • 立ち座りの動作練習:ゆっくり立ち上がって座る動作を繰り返すことで、日常動作の安定につながります。

バランス感覚を鍛える運動

  • 片足立ち:壁や椅子につかまりながら、片足で立つ練習。

  • 横歩きの練習:足を左右に開きながらゆっくり歩く動きで、身体のバランスを整えます。

※どちらも、無理のない範囲で、転倒しないように支えを確保した状態で行いましょう。


住環境の整備で転倒リスクを減らす

居室の整理整頓

  • 床に物を置かないようにし、コード類もまとめておく。

  • 家具の角にはクッション材をつけて、転倒時のけがを軽減。

十分な照明の確保

  • 廊下やトイレなど、特に夜間は足元を照らすライトを設置。

  • 人感センサー付きライトも便利です。

滑りにくい床づくり

  • 浴室や台所には滑り止めマットを設置。

  • 手すりの取り付けや、転倒しにくいカーペットも有効です。


日常生活の中でできる転倒予防

足元の注意と履物の選び方

  • つまずきを防ぐために、歩くときは足元をよく見るように意識を。

  • 靴は、足にしっかりフィットし、滑りにくい底のものを選びましょう。

薬の影響を把握する

  • 血圧の薬や睡眠薬など、一部の薬はふらつきや眠気を引き起こすことがあります。

  • 気になる症状があれば、医師や薬剤師に相談を。


まとめ

高齢者の転倒は、大きなけがや生活機能の低下につながるリスクがありますが、日々の工夫や配慮によって予防することが可能です。

  • 筋力やバランスを保つ運動を習慣にする

  • 家の中の安全対策を見直す

  • 履きやすく安定感のある靴を選ぶ

  • 薬の影響を意識する

これらを組み合わせて、安心して過ごせる環境づくりを意識していきましょう。