コラム2020/01/23
アニマルセラピー ペットと過ごせば認知症予防に!?
アニマルセラピー ペットと過ごせば認知症予防に!?
最近は、ペットを飼う家庭は珍しくないですよね。ペット向けのサービスも充実しており、ペットではなく家族の一員であるという見方も増えています。今回はペットと認知症予防の関係性について、お話させていただきます。
アニマルセラピーってなに?
アニマルセラピーは、動物と触れ合うことで、ストレスの緩和、精神的な落ち着きなどの癒しの効果や活動性の向上を促すことを目的として行われます。アニマルセラピーは、古代ローマ時代から馬を用いて負傷した兵士のリハビリが行われていた歴史があり、現在では人にとって身近な動物である犬を用いたセラピードッグの訪問が、高齢者施設や病院などで行われています。アニマルセラピーの中でも、医療現場で医療従事者の主導のもとに動物を用いる治療を動物介在療法と言います。
認知症への効果は?
長く施設に入所されている高齢者は活動性や意欲が低下し、会話や表情の変化が乏しくなることがみられます。コミュニケーションの機会が減り、身体的な障害や機能低下なども相まって、日常生活が行いにくくなると、不安や苛立ち、不快な感情も現れやすくなり、精神的に不安定な状態ともなります。アニマルセラピーによって犬と触れ合うことで、自然に笑顔がこぼれたり、穏やかな表情になったりなど、表情の変化や、精神的な安定をもたらす効果が有ります。昔、犬を飼ったことのある方は、昔のことを思い出して涙するなど、情動の変化が現れることもあります。
普段ほとんど自発性がみられない方でも、犬への興味を持って、積極的に犬をなでる、触る、抱くなどの自発的な行動が促され、意欲や活動性の向上や、身体機能の向上も期待できます。
犬への話しかけや、犬の話題を通して会話が増えること、犬を通して他人とのやりとりが生まれることなど、コミュニケーションの拡大や社会的な側面を促す効果もあります。また、ストレスの緩和やうつ状態の改善が図られ、活動性や社会性が向上することで、日常生活の自立度や生活の質の改善につながることも期待できます。
なんで効果的だと言えるの?
認知高齢者に対して犬を用いた動物介在療法を実施した群と実施していない群とを比べた研究で、精神的ストレスがあると上昇する唾液アミラーゼ活性値が動物介在療法を実施した群で有意に下がっていることがみられました。また、うつ状態を調べるテストでは、動物介在療法を実施した群でうつ状態の割合が少なかったことからストレスの緩和とうつ状態の改善に効果があると言えます。
活動性をはかるテストでも動物介在療法を実施した群で活動性が高い結果となり、笑顔や発話、犬への興味、活動量の増大も、行動から観察できたことから精神的・身体的活動の向上が図られることも言えます。
動物介在療法で得られる効果は、動物と触れ合うセラピードッグの訪問など、広義のアニマルセラピーでも期待され、認知症を含む高齢者への取り組みの一環として多くの施設で実施されています。
どうやって行えばいいの?
自宅でペットを飼うことや、セラピードッグの訪問に代表される動物と触れ合うことを楽しむレクリエーション活動もアニマルセラピーといえますが、医療現場で行われる動物介在療法では、医師や医療従事者を中心としたチームで、一人の対象に対して実施されます。
動物介在療法では、対象者の方の目標を設定して目標に沿ったプログラムを実施し、治療後に再評価を行います。用いられるのは訓練、しつけ、服従の基準を満たし、認定されたセラピードッグです。
まとめ
小さい子と接するのも認知症予防に効果的と言われますが、身近にいるようになった動物がこんなにも良い影響を与えてくれるとは思わなかったですよね。アレルギーがある人やトラウマがある人には注意が必要ですので気を付けてくださいね。日本アニマルセラピー協会( http://animal-t.or.jp/)もあるので気になった方はご覧ください。