コラム2025/03/21
感染症予防と免疫力アップの方法
今回は「感染症予防と免疫力アップの方法」についてお伝えします。高齢者は免疫力の低下により感染症にかかりやすくなります。特にインフルエンザや肺炎、新型コロナウイルス、ノロウイルスなどは重症化しやすく、命に関わることもあります。また、感染症がきっかけで体力や食欲の低下が進むと、寝たきりや認知機能の低下にもつながります。そこで、感染症を予防し、免疫力を高めるための具体的な方法をお伝えします。
高齢者が感染症にかかりやすい理由
免疫機能の低下
加齢により免疫細胞の働きが弱くなり、ウイルスや細菌への抵抗力が下がります。その結果、感染しやすくなり、治癒にも時間がかかります。
基礎疾患の影響
糖尿病、高血圧、慢性呼吸器疾患などの持病があると、体力や免疫力が低下し、感染リスクが高くなります。
栄養不足
栄養不足は免疫機能を低下させる原因となります。特にたんぱく質やビタミンが不足すると、免疫細胞の働きが弱まります。
生活環境
介護施設やデイサービスなどでは集団生活のため感染リスクが高くなります。また、換気不足や手洗い不足も感染の原因となります。
◆ 感染症予防の基本
手洗い・うがいを徹底する
手洗いは感染症予防の基本です。外出後やトイレの後、食事前には30秒以上かけて指の間や爪の隙間まで丁寧に洗いましょう。
- 石鹸を使ってしっかり洗う
- アルコール消毒を併用する
- 口や鼻、目を手で触らない
口腔ケアを徹底する
口腔内の細菌が肺に入ることで誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。毎食後に歯磨きやうがいを行い、口腔内を清潔に保ちましょう。
- 入れ歯の清掃を忘れずに
- 舌ブラシを使用して舌苔(ぜったい)を取り除く
ワクチン接種を活用する
インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、重症化を防ぐ効果があります。ワクチン接種を積極的に勧め、必要に応じて医師と相談しましょう。
- インフルエンザワクチン:毎年秋に接種
- 肺炎球菌ワクチン:5年に1回接種
換気と湿度管理を行う
ウイルスは乾燥した環境で活動しやすくなります。室内の湿度を**50~60%**に保つことで、ウイルスの活動を抑えることができます。
- 1日2~3回、10分以上の換気
- 加湿器や濡れタオルで湿度調整
免疫力を高める方法
栄養バランスの取れた食事を心がける
免疫力を維持するためにはたんぱく質やビタミン、ミネラルが必要です。
- たんぱく質:肉、魚、卵、大豆製品
- ビタミンC:柑橘類、ブロッコリー
- ビタミンD:きのこ類、鮭、卵
- 鉄分:赤身の肉、レバー、ほうれん草
特にビタミンDは免疫細胞の活性化に重要で、日光を浴びることで体内で生成されます。
良質な睡眠をとる
睡眠不足は免疫力を低下させます。7時間以上の睡眠を目指し、以下のような工夫を取り入れましょう。
- 寝る1時間前にはスマホやテレビを見ない
- 就寝前に軽くストレッチを行う
- 就寝・起床時間を一定にする
軽い運動を取り入れる
適度な運動は免疫細胞の働きを活性化します。無理のない範囲でウォーキングや軽い体操を取り入れましょう。
- 1日20~30分のウォーキング
- 座ったまま足踏み運動
- 手足を軽く振るストレッチ
ストレスを軽減する
ストレスは自律神経を乱し、免疫力を低下させます。リラックスできる時間を作ることが重要です。
- 深呼吸や瞑想を取り入れる
- 趣味の時間を楽しむ
- 家族や友人と会話する
まとめ
感染症予防には基本的な衛生管理と免疫力アップが欠かせません。特に高齢者の場合、感染症にかかると重症化リスクが高くなるため、日常生活の中で感染症を防ぐ工夫が必要です。免疫力を高めるには、バランスの良い食事、良質な睡眠、適度な運動を心がけ、日常生活の中で予防策をしっかり実践していきましょう。介護の現場でも、利用者の健康状態や生活習慣を観察しながら、感染症対策を継続していくことが大切です。