コラム2025/02/23
認知症の方とのコミュニケーションテクニック
認知症の方とのコミュニケーションには、通常とは異なる“ひと工夫”が必要です。今回は、その中の一つである“バリデーション”についてご紹介します。
バリデーションとは?
バリデーションとは、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の高齢者とのコミュニケーション方法の一つです。認知症の方の言葉や行動には意味があると考え、それを認め、受け入れることを大切にします。
バリデーションの目的
バリデーションには、以下の2つの目的があります。
✔ 感情の表出を促し、共感する
⇒ 悲しみ・怒り・恐れ・不安などの感情を否定せずに受け止める。
✔ 「人生の未解決の課題」への奮闘を支援する
⇒ やり残したこと、心の傷、大切な人との別れなどに寄り添う。
バリデーションの効果
バリデーションを活用することで、以下のような効果が期待できます。
認知症の方への効果
- ストレスや不安の軽減
- BPSD(行動・心理症状)の緩和
- 自尊心の回復、生きる活力の向上
- 他者との交流の再開
ご家族やケアスタッフへの効果
- 認知症の方の言動を理解しやすくなる
- フラストレーションの軽減
- 信頼関係の構築
- 仕事への自信向上
バリデーションの基本姿勢
バリデーションを実践する際には、以下の5つの基本姿勢を大切にしましょう。
- 傾聴
⇒ 五感を使って注意深く「聴く」。 - 共感(カリブレーション)
⇒ 相手の感情が表れている身体の部分を観察し、同じように表現する。 - 誘導しない(ペースを合わせる)
⇒ 姿勢・歩き方・表情・呼吸を相手に合わせる。 - 受容し、強制しない
⇒ ありのままを認め、相手の世界観に寄り添う。 - 嘘をつかない・ごまかさない
⇒ しっかりと向き合い、信頼関係を築く。
バリデーションのテクニック
バリデーションには、言語的・非言語的なテクニックがあります。
言語的テクニック
✔ リフレージング(反復)
認知症の方の言葉をそのまま繰り返すことで、安心感を与える。
例:「部屋に誰かがいる!」 → 「部屋に誰かがいるのですね。」
✔ オープンクエスチョン
相手が自由に答えられる質問をすることで、会話を広げる。
✔ レミニシング(回想法)
過去の話を聞くことで、今の困難への対処方法を引き出す。
非言語的テクニック
✔ ミラーリング
相手の動作や表情を真似ることで、安心感を与える。
✔ アイコンタクト
正面に座り、受け入れる気持ちを込めて相手の目を見る。
✔ タッチング(触れるコミュニケーション)
認知症の方が話す内容に応じた触れ方をする。
- 母の話をしているとき → 頬を手のひらでなでる
- 父の話をしているとき → 頭頂部からなでおろす
- 子どもの話をしているとき → 首の後ろをなでる
- 友人の話をしているとき → 肩から上腕部をなでる
✔ 声のトーン
落ち着いた声のトーンで話すことで、安心感を与える。
まとめ
バリデーションを活用することで、認知症の方とより良いコミュニケーションがとれるようになります。ケアの質が向上し、日々の業務もスムーズに進むでしょう。
コミュニケーションスキルを磨きながら、信頼関係を深めていきましょう!