MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅療養における経済的負担を軽減する制度のご紹介

コラム2025/02/22

在宅療養における経済的負担を軽減する制度のご紹介

在宅療養は入院と比べると費用負担が軽減されますが、外来受診に比べると負担が大きくなることがあります。また、療養が長期化するケースも多いため、経済的な負担をできるだけ軽くし、安心して療養生活を続けられるように支援することが重要です。

福祉給付金資格者証(名古屋市)

名古屋市にお住まいの方で、一定の条件を満たす場合、「福祉給付金資格者証」の交付を受けることで、医療費の自己負担が0割(無料)となります。

【対象者】

1. 後期高齢者医療の被保険者または70歳以上の方で、以下のいずれかに該当する方

  • 寝たきりまたは中等度以上の認知症が3カ月以上継続(所得要件あり)
  • 介護度が要介護4以上

2. 障害者手帳をお持ちの方(70歳未満でも対象)

  • 身体障害者手帳3級以上
  • 精神障害者保健福祉手帳2級以上

特定疾患医療受給者証

厚生労働大臣が指定する指定難病(341疾病)が対象となり、対象者は医療費助成制度を利用できます。

https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000103/103597/20240401.xlsx

【手続きの流れ】

  1. 主治医の診断を受ける
  2. 都道府県へ申請
  3. 認定されると「特定疾患医療受給者証」が交付

【メリット】

  • 医療費(訪問看護や処方費用を含む)の自己負担が全額または一部軽減
  • 有効期間は1年間で、毎年更新が必要

【在宅療養でよくみられる対象疾患】

  • パーキンソン病関連疾患
  • 多発性硬化症
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄小脳変性症
  • 多系統萎縮症
  • 悪性関節リウマチ
  • 拡張型心筋症
  • 特発性間質性肺炎
  • 重症筋無力症

身体障害者手帳

身体障害者福祉法に基づき交付される手帳で、障害の種類や程度に応じて等級が決まります。

【主な障害分類】

  • 視覚・聴覚・言語・肢体不自由(上肢・下肢・体幹)
  • 内部障害(心臓・腎臓・呼吸器・肝臓・小腸・膀胱・直腸・免疫機能障害)

【等級とよく見られる障害】

  • 肢体不自由(1~7級)
  • 内部障害(1~4級)(心臓・腎臓・呼吸器など)

【手帳のメリット】

  1. 等級に応じた福祉サービスの利用
  2. 3級以上で医療費負担なし
  3. 特別障害者手当の受給(2級以上の障害が重複する場合)
  4. 障害年金の受給
  5. 生命保険の高度障害保険金の支給(該当者のみ)

※ 手帳申請には、障害の固定まで一定の期間が必要です。申請時期の目安は以下の通り。

  • 脳血管障害による肢体不自由:発症後3カ月
  • 廃用症候群・加齢による肢体不自由:発症後6カ月

精神障害者保健福祉手帳

精神障害により日常生活や社会生活に制約がある方が対象で、1~3級に分類されます。

【等級ごとの障害程度】

  • 1級:日常生活が自力ではほぼ不可能な状態
  • 2級:日常生活に著しい制限がある
  • 3級:日常・社会生活に制限がある

【手帳のメリット】

  • 市内在住の2級以上の方は医療費負担なし
  • 更新は2年ごとに必要

※ 手帳申請には、療養期間が6カ月以上必要です。

まとめ

在宅療養において、経済的負担を軽減できる制度を知っておくことは非常に重要です。 「使える制度は積極的に活用し、患者さんやご家族の負担を減らす」ことを意識して支援していきましょう。