コラム2025/01/31
知られざる双極性障害の世界:Ⅰ型とⅡ型の理解を深める
双極性障害(そうきょくせいしょうがい)は、気分の極端な変動が特徴の精神疾患で、大きくⅠ型とⅡ型に分類されます。
それぞれのタイプには異なる特徴と治療方針があり、正確な診断と適切なケアが重要です。
双極性障害Ⅰ型の特徴
双極性障害Ⅰ型は、躁(そう)状態と抑うつ(よくうつ)状態の両方を経験する疾患です。特にⅠ型では、躁状態が非常に顕著であり、日常生活や社会的機能に重大な影響を及ぼすことがあります。
主な特徴
躁状態の症状
- 異常なほどの高揚感や過剰な自信
- 睡眠欲求の減少
- 多弁、早口になる
- リスクの高い行動(過剰な買い物、無計画な投資など)
抑うつ状態の症状
- 深い悲しみや無気力
- 食欲や睡眠パターンの変化
- 自責感や絶望感
躁状態が重度の場合、入院が必要になることもあります。
また、幻覚や妄想といった精神病的な症状を伴うこともあります。
双極性障害Ⅱ型の特徴
双極性障害Ⅱ型は、軽躁(けいそう)状態と抑うつ状態を特徴とします。
軽躁状態はⅠ型の躁状態ほど重くはありませんが、依然として気分や行動に変化をもたらします。
主な特徴
軽躁状態の症状
- 高揚感や活力の増加
- 集中力や創造性の向上
- 過剰な社交性
抑うつ状態の症状
- Ⅰ型と同様、悲しみや無気力など
軽躁状態は一見すると「調子が良い」ように見えるため、周囲が病気と気づきにくいことがあります。
そのため、抑うつ状態が主な症状として現れることが多く、Ⅱ型の診断が遅れるケースも少なくありません。
Ⅰ型とⅡ型の違い
特徴 | Ⅰ型 | Ⅱ型 |
主な症状 | 躁状態と抑うつ状態 | 軽躁状態と抑うつ状態 |
症状の重さ | 躁状態が重度で、場合によっては入院が必要 | 軽躁状態は重度ではない |
精神病症状 | 躁状態で幻覚や妄想が現れることがある | 通常は現れない |
診断の難しさ | 比較的診断しやすい | 抑うつ状態が目立ち、診断が難しい場合がある |
治療とケア
双極性障害の治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせることが一般的です。
薬物療法
- 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など)
- 抗精神病薬(特にⅠ型の躁状態に効果的)
- 抗うつ薬(ただし、躁状態を引き起こすリスクがあるため慎重に使用)
心理療法
- 認知行動療法(CBT)
- 家族療法や対人関係療法
- 生活リズム療法(規則正しい睡眠と活動)
ライフスタイルの工夫
- ストレス管理
- 規則的な睡眠と食事
- 適度な運動
- 周囲の理解と支援
まとめ
双極性障害のある人が安定した生活を送るためには、周囲の理解と支援が欠かせません。
また、治療に関する情報を共有し、一緒に適切な対応策を考えることも役立ちます。
早期の診断と介入を目指し、専門家と協力しながら最適な治療プランを構築することが大切です。