コラム2025/01/06
アテローム血栓性脳梗塞とは
アテローム血栓性脳梗塞(アテロームけっせんせいのうこうそく)は、脳の血管が詰まることで引き起こされる脳梗塞の一種です。
この病気は、動脈硬化が進行することにより、血管内にアテローム(脂質やカルシウム、コレステロールが沈着した塊)が形成され、そこから血栓(血の塊)ができて血流が遮断されることによって発症します。
アテローム血栓性脳梗塞は、特に高齢者に多く見られる脳梗塞のタイプです。
アテローム血栓性脳梗塞の原因
アテローム血栓性脳梗塞の主な原因は動脈硬化です。
動脈硬化とは、血管内壁が厚く硬くなり、血管の弾力性が失われる現象です。
この過程では、血管内にアテロームと呼ばれる脂質やカルシウム、コレステロールが蓄積され、血管の内腔が狭くなります。
このアテロームが破れて、血管内で血栓を形成することがあります。
その結果、血流が途絶え、脳に必要な酸素と栄養が供給されなくなり、脳梗塞が発生します。
動脈硬化の原因としては、高血圧、高コレステロール、糖尿病、喫煙、肥満などの生活習慣が挙げられます。
これらの要因が複合的に作用することで動脈硬化が進行し、アテローム血栓性脳梗塞のリスクが高まります。
アテローム血栓性脳梗塞の症状
アテローム血栓性脳梗塞の症状は、脳のどの部分に血流が届かなくなるかによって異なります。
片側の麻痺:顔や手足の片側が麻痺することがあります
言語障害:言葉がうまく出ない、理解できないといった症状が現れることがあります(失語症)
視力障害:片目または両目の視力が低下したり、視野が欠けたりすることがあります
運動失調:歩行が不安定になる、ふらつきが生じることがあります
意識障害:頭痛、めまい、吐き気、さらには意識を失うこともあります
症状の出現は急激であり、場合によっては数分から数時間で進行します。
脳梗塞は迅速に治療を行わないと、脳の一部が永久的に損傷を受ける可能性があるため、早期発見と治療が極めて重要です。
アテローム血栓性脳梗塞の診断
アテローム血栓性脳梗塞の診断には、まず医師による病歴の確認と症状の評価が行われます。
その後、脳の状態を確認するためにいくつかの検査が行われます。
CTスキャンやMRI:脳の画像診断により、梗塞が起こっている部分を特定します。特にMRIは脳梗塞の早期発見に有効です。
血管造影:血管がどのように詰まっているのか、または狭くなっているのかを確認するために行われることがあります。血管造影は、血管の状態を詳細に評価できます。
血液検査:血糖値やコレステロール値をチェックし、動脈硬化のリスク要因を確認します。
アテローム血栓性脳梗塞の治療法
アテローム血栓性脳梗塞の治療は、発症からの時間経過が重要です。
治療が早ければ早いほど、脳に与えるダメージを最小限に抑えることができます。
血栓溶解療法:発症後4.5時間以内に血栓溶解剤(t-PAなど)を投与することで、血栓を溶かして血流を回復させることが可能です
抗血小板薬:血小板が集まり血栓を作るのを防ぐ薬(アスピリンやクロピドグレルなど)が使用されます。長期的には、血栓が再発しないように予防する目的で使用されます。
血行再建手術:血管が著しく狭くなっている場合や、薬物療法が効果を示さない場合には、手術を行うことがあります。カテーテルを用いて血管を広げる方法や、外科的に血管を修復する方法があります。
アテローム血栓性脳梗塞の予防
アテローム血栓性脳梗塞の予防には、生活習慣の改善が重要です。
高血圧や高コレステロールの管理:定期的に血圧や血液検査を受け、必要に応じて薬物療法を行います
禁煙:喫煙は動脈硬化を進行させる大きな要因です
禁煙をすることで、脳梗塞のリスクを大幅に減らすことができます
適度な運動と食事改善:バランスの取れた食事と、週に数回の運動を行うことで、肥満や糖尿病の予防にもつながります
ストレス管理:過度なストレスは血圧を上昇させる原因となります
ストレスをうまく管理する方法を見つけることが大切です
まとめ
アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化が進行することによって発症する脳梗塞の一種であり、特に高齢者に多く見られ、症状が急激に現れるため、早期に治療を開始することが極めて重要です。
予防には生活習慣の改善が必要不可欠であり、適切な管理によってリスクを減らすことが可能です。
アテローム血栓性脳梗塞を予防するためには、定期的な健康診断と、血圧やコレステロール値の管理、禁煙や適度な運動が有効です。