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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

冬場の健康管理:ヒートショックを知り、守るための対策

コラム2024/12/11

冬場の健康管理:ヒートショックを知り、守るための対策

寒い冬において、命に関わる健康リスク「ヒートショック」。特に高齢者に多いこの現象を予防するための具体的な方法を、最新の知見を交えてお伝えします。

ヒートショックとは?

ヒートショックとは、温度の急激な変化で血圧が乱高下し、失神、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす現象です。

危険な場面例

  • 温かい部屋から寒い浴室・脱衣所への移動
  • 寒冷刺激後、熱いお湯に浸かることで血圧が急変
  • 浴槽で失神すると溺水事故につながる危険性

入浴中の死亡事故の現状

  • 年間約19,000人(推計)が入浴中に死亡
  • その約9割が65歳以上の高齢者
  • 事故の大半は冬(11月〜3月)に発生

ヒートショックのリスクが高い人

高齢者

生理機能の低下により、体温調節や血圧変動が起こりやすい。

高血圧の方

急な血圧変動で意識障害や心血管疾患のリスクが増加

糖尿病・脂質異常症の方

動脈硬化により、血圧変動が命に関わる危険性を増大

ヒートショックを防ぐための具体的な対策

脱衣所・浴室を暖める温度差を防ぐため、入浴前に脱衣所や浴室を暖房器具で暖める

浴槽にお湯を張る際、高い位置からシャワーを使うことで蒸気が浴室を温める効果があります。窓からの熱逃げ対策も有効です。

お湯の温度と時間を守るお湯の温度は41℃以下、入浴時間は10分以内を目安に

高温の入浴は意識障害やショックのリスクを高めます。半身浴でも長時間の入浴は避けましょう

食事直後や飲酒時の入浴を控える

血圧低下や意識障害を招くリスクがあるため、食事直後や飲酒時、薬服用後の入浴は避けましょう

日中の入浴を心がける

午後2〜4時頃は温度差への適応力が高く、室温も比較的安定しているため、この時間帯の入浴が推奨されます

一人での入浴を控える

家族の見守りがある時間帯や、公衆浴場を活用しましょう。入浴時は家族に一声かける、声をかけ合う習慣をつけると安全です。

ヒートショックが起きた場合の緊急対応

浴槽内で気を失っている場合

浴槽のお湯を抜き、可能であれば引き上げてください。人手がない場合はお湯を抜いた上で救急車を呼びましょう。

意識がない場合・呼吸が弱い場合

すぐに救急車を呼び、救急車が到着するまでの間、可能な限り胸骨圧迫や人工呼吸などの応急処置を行ってください。

意識があるが異常が見られる場合

ろれつが回らない、手足が動かない、胸の痛みなどがある場合も迷わず救急車を呼んでください。

ヒートショック対策は家族全員で取り組もう

冬の入浴時のリスクを減らすためには、個人の注意だけではなく家族や同居者の協力も必要です。適切な住環境を整え、体調や入浴時間を互いに気遣う習慣をつけることで、安心して冬を過ごしましょう。