コラム2024/11/05
医療現場に活力を!フィッシュ哲学で日々の仕事をより楽しく充実したものに
医療従事者の仕事は、日々、命を預かり、患者さんと向き合い、多忙な環境で働き続けることはとても大変なことです。今回は、職場の活気とチームの連携を高める「フィッシュ哲学」をご紹介します。
フィッシュ哲学とは?
アメリカのパイク・プレイス・フィッシュ・マーケットで生まれたこの哲学は、職場を明るく、活気のあるものに変えるシンプルな4つの原則から成り立っています。
- 楽しむ(Play)
- 人を喜ばせる(Make Their Day)
- 注意を向ける(Be There)
- 態度を選ぶ(Choose Your Attitude)
フィッシュ哲学を導入した医療機関の成功例
多くの医療現場でもフィッシュ哲学は実際に導入され、効果を上げています。例えば、あるアメリカの病院では看護師たちがこの哲学を取り入れたことで、以下のような変化がありました。
- 患者との信頼関係の向上:看護師たちが「人を喜ばせる」ために小さな努力を積み重ね、患者に花を贈ったり、声をかけたりすることで患者の満足度が大幅に向上しました。
- スタッフ間の結束力の強化:シフト交代時にチーム全員で「楽しむ」ための短いゲームや軽い会話を取り入れることで、チームワークが高まりました。結果、職場の雰囲気が改善され、離職率の低下につながりました。
- 疲労感の軽減:ポジティブな「態度を選ぶ」ことで、特にストレスの多い時期においても、医療従事者自身の精神的な健康が守られました。これにより、仕事へのモチベーションが高まり、持続的なケアが可能になりました。
なぜ医療現場にフィッシュ哲学?
フィッシュ哲学は、医療の現場で特に有効です。患者さんやその家族が心配や不安を抱えている場面で、温かい対応や明るい雰囲気を生み出すことは、彼らの安心感を高めます。さらに、同僚との関係も深まり、チーム全体の士気を高めることができます。
・今日のシフトで誰かを喜ばせる行動を一つ選びましょう。
・短い休憩中に、同僚と笑顔を共有してみましょう。
導入にあたっての弊害や課題
フィッシュ哲学を導入することで多くの利点がありますが、どんな組織変革にもいくつかの弊害や課題が伴うことがあります。医療現場でフィッシュ哲学を導入する際に考えられる弊害や注意点を以下に挙げます。
- 時間的制約
医療現場は忙しく、常に多くのタスクを抱えているため、フィッシュ哲学を導入する時間を確保することが難しい場合があります。スタッフが仕事量に追われていると、新しい活動に参加する余裕がなく、導入が形骸化する恐れがあります。
対策:フィッシュ哲学の実践を日常の業務の中に無理なく取り入れ、負担にならない小さなアクションから始めることが大切です。
- 職場の文化や抵抗
フィッシュ哲学の基本的な価値観は明るく前向きなものですが、一部のスタッフはこの新しい取り組みに懐疑的だったり、受け入れることに抵抗感を持ったりすることがあります。特に厳粛な雰囲気が一般的な職場では、この哲学が不自然に感じられることもあります。
対策:新しい取り組みが職場の文化に合うように、段階的に進めるとともに、リーダーシップが率先して実践を示すことが重要です。チームメンバーが自発的に参加できるようなアイディアを募り、小さな成功体験を積むことが有効です。
- 誤解や形式化
フィッシュ哲学はシンプルであるがゆえに、誤解されて単なる「楽しいイベント」や「軽い行事」と捉えられることがあります。この場合、本来の意図である「チームワークの強化」や「コミュニケーション改善」につながらないことがあります。
対策:フィッシュ哲学の4つの柱をしっかりと理解し、それを日常業務にどのように活かすかを具体的に示す研修やディスカッションの場を設けることが有効です。
- 個々の価値観の違い
医療従事者の中には、仕事に対する姿勢や価値観が多様です。特に「楽しむ」などの要素は、真面目な業務を優先する方にとって不適切に感じられることもあります。
対策:フィッシュ哲学は必ずしも「楽しいだけ」ではないことを強調し、「注意を向ける」「人を喜ばせる」などの他の柱を活用することで、個人の価値観に合わせた取り入れ方ができるよう工夫します。
- 持続性の確保
導入当初は盛り上がりを見せても、時間が経つと徐々にその効果が薄れ、形骸化してしまうことがあります。これは、職場のルーチンに戻ると新しい習慣が定着しにくくなるためです。
対策:定期的なフォローアップや、チームミーティングの中で成功事例を共有し続けることが重要です。フィッシュ哲学の各原則を意識的に振り返り、改善点を話し合う場を設けると持続性が高まります。
まとめ
フィッシュ哲学は医療現場で効果的に活用すれば、職場の雰囲気をポジティブに変えることができます。組織作りの参考にしてみてはいかがでしょうか。