「DII（食事性炎症指数, Dietary Inflammatory Index）」は、食事の炎症性を評価する指標として、近年注目されています。

炎症は、体が病原菌や損傷に対して反応する自然な防御メカニズムですが、慢性的な炎症は心血管疾患、糖尿病、肥満、がんなどの慢性疾患に関連しています。

そのため、食事が炎症にどのように影響を与えるかを評価することは、健康維持や病気予防において重要な役割を果たします。

DIIの概要

DIIは、特定の食事成分が体内の炎症を促進するか、抑制するかを基に計算されます。

この指標は、食事の炎症性を数値化し、その値がプラスの場合は炎症促進的、マイナスの場合は炎症抑制的であることを示します。

具体的な食事成分

DIIの計算に使用される栄養素や食物成分には、以下のようなものがあります：

炎症抑制的: 食物繊維、ビタミン（C、D、Eなど）、オメガ3脂肪酸、ポリフェノール（緑茶やフルーツなどに含まれる）、野菜、果物

炎症促進的: 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、精製糖、精製炭水化物、加工食品、高塩分食品

DIIの活用方法

DIIを利用することで、個人の食生活が炎症にどの程度影響を与えているかを把握し、炎症を抑制するための食事調整に役立てることができます。

例えば、炎症促進的な食品を減らし、炎症抑制的な食品を増やすことで、健康リスクを軽減することが期待されます。

DIIが注目される理由

DIIは、多くの研究で心血管疾患、がん、糖尿病などの慢性疾患との関連が示されています。例えば、DIIが高い（炎症促進的な）食事を摂取する人は、心血管疾患や特定のがんリスクが高まることが報告されています。

一方で、DIIが低い食事は、炎症を軽減し、健康リスクを減少させる可能性があります。

実生活でのDIIを活用した食事

増やすべき食品: 野菜、果物、ナッツ、種子、全粒穀物、オメガ3が豊富な魚（サーモンなど）、オリーブオイル

減らすべき食品: 加工肉、砂糖を多く含む飲料、トランス脂肪を含むスナック菓子、過度に加工された食品

DIIは、栄養学や健康維持の視点から非常に有用なツールとなっており、食事を通じて健康を管理する上での指標としての役割が期待されています。