コラム2024/10/09
過敏性腸症候群(IBS)についてVol.3
過敏性腸症候群(IBS)の治療の始め方
IBS(過敏性腸症候群)は、便通に関わる症状を抱える方にとって日常生活に支障をきたすことが多く、適切な治療が必要です。IBSの治療は、生活習慣の改善から始めることが基本となります。
生活習慣の改善
– 規則正しい食事
1日3食を決まった時間に取り、暴飲暴食や夜遅い時間に食べるのを避けましょう。栄養バランスを意識した食事が重要です。
– ストレス管理
ストレスをため込まないように、リラクゼーションや趣味の時間を意識的に持ちましょう。また、十分な睡眠と休息をとることも大切です。
– 食事内容の見直し
カフェイン、辛い食べ物、高脂肪の食事、アルコールなどの刺激物は控えることが勧められます。
薬物療法
生活習慣の見直しだけでは症状が改善しない場合、以下の薬物療法が考慮されます。
– 消化管運動機能調節薬
腸の運動を調整し、便秘や下痢の症状を和らげる薬です。
– プロバイオティクス
ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含む製剤が腸内環境の改善に役立ちます。
– 高分子重合体
水分を吸収して便のバランスを整えるため、便秘や下痢の両方に効果が期待されます。
– 漢方薬
漢方薬は、個々の症状に合わせて処方されることがあり、伝統的な治療法としても注目されています。
– 下痢型・便秘型の薬
下痢型にはセロトニン3受容体拮抗薬、便秘型には便を柔らかくする薬が使用されることがあります。
– 追加療法
下痢には止痢薬、腹痛には抗コリン薬、便秘には下剤など、必要に応じて補助的に薬が使用されることもあります。
過敏性腸症候群(IBS)が治療に反応しないときはどうする?
IBS(過敏性腸症候群)は、症状が長引く場合があり、通常の治療がうまくいかないこともあります。治療が進まない場合でも、追加の選択肢やアプローチがあるため、諦めずに向き合うことが大切です。
- 胆汁性下痢に対するアプローチ
– コレスチラミン
胆汁酸を吸着し、胆汁性下痢の症状を緩和する薬です。特に胆汁酸の吸収不良による下痢に有効とされています。
– 漢方薬
腹痛の改善には「桂枝加芍薬湯」、便秘型のIBSには「大建中湯」が使われることがあります。漢方薬は、体質に合わせた治療として注目されています。
- ストレスや精神的な要因に対応する治療法
– 抗不安薬・抗うつ薬
ストレスや不安が症状に大きく影響している場合、抗不安薬や抗うつ薬が使用されます。これらの薬は、不安感を軽減し、腸の運動を落ち着かせる効果があります。ただし、長期間の使用には慎重な管理が必要です。
– 簡易精神療法
ストレスの対処法やリラクゼーションのテクニックを学ぶことで、心理的なサポートが行われます。これにより、ストレスを軽減し、症状の改善が期待できます。
- 治療の流れ
– 初期治療
各治療法を組み合わせ、4~8週間の経過を見ながら治療を続けます。
– 効果の評価
改善が見られれば治療を継続しますが、効果がない場合は別の治療法を検討します。多くの場合、治療を調整することで症状の緩和が期待できます。
まとめ
IBSの治療はまず生活習慣の改善から始め、必要に応じて薬物療法を組み合わせることが重要です。個々の症状に合わせたアプローチで、症状の緩和が期待できます。
治療が思うように進まないと感じる場合でも、さまざまな治療法を組み合わせることで症状を改善できる可能性があります。医師と連携して、あなたに合った最適な治療法を見つけましょう。