コラム2020/01/07
甘く見てはいけない高齢者の風邪
甘く見てはいけない高齢者の風邪
1月に入り、寒さも一層厳しくなってまいりました。関係者の皆様は風邪などひいてはいないでしょうか。この時期は、高齢者の風邪にも気を付けたいですね。誰でも風邪をひくことはありますが、特に高齢者が風邪をひくと、抵抗力が低下しているため肺炎などを合併しやすく、注意が必要になります。ただの風邪だと思って重篤な状態になりつつあるのに見過ごされてしまう場合もあるのです。
高齢者に多い風邪の合併症
高齢者が風邪をひくと、合併症を起こしやすくなってしまいます。ただ風邪をひいただけでも、合併症を起こすことによって入院が必要になる場合や、重症になると命の危険が出てきてしまう場合もあります。
◆肺炎
鼻から喉までの間を上気道と言いますが、上気道はほこりや病原菌を排除する役目を持っています。でも風邪をひくと上気道に炎症が起こり、この機能が低下してしまうのです。すると、病原菌は簡単に肺に入れる事になり、肺の中の肺胞という場所で増えてしまい、肺炎となるのです。
元々高齢者は肺の機能が低下している場合が多く、免疫機能も低下しているので、若い世代の人と比べると、肺炎になりやいのです。また重症になって命を落としてしまう場合もある危険なものでもあります。
◆気管支炎
鼻から喉までを上気道と言いましたが、気管支はその下にある下気道になります。ここが病原菌に感染して炎症を起こすのが気管支炎です。
急性気管支炎は、風邪をひいてから比較的早い段階で合併し起こるものですが、気管支炎もまた肺炎を起こす原因になります。呼吸困難を伴う場合があり、急性呼吸不全になると命に危険が起きてきます。
見逃さないで!高齢者の風邪はわかりにくい!?
私たちが風邪をひくと、高熱が出たり、ゴホンゴホンと咳が出たりとはっきりと症状が出るケースが多いですが、高齢者は症状が現れにくい為、見過ごされて、重症になってしまうことがあります。特に認知症の方は自身の症状を伝えられない方も多い為、更に発見が遅れてしまう事が多いのです。では、私たちはどのような症状に注意するべきなのでしょうか。
注意すべき症状の例
1. 食欲がない
2.体がだるそう
3.話しかけても返事がない
4.ぼーっとしている
5.機嫌が悪いように見える
当院の医師が定例の勉強会でもご紹介をさせていただいた「いつもと違う」が気を付けるべき基本的なポイントです。普段よりも食べる量が少ない、座っていると体が傾く、意識障害が起きている為に返答がなくぼーっとしている、口数が少なく機嫌が悪そうに見える、など「いつもと違う」に気を付けるようにしましょう。
まとめ
今回の内容は経験豊富な関係者の皆様にとっては、毎年きちんと気を付けていらっしゃる基本的な事のおさらいであったかと思います。もし新人さんが周りにいらっしゃる場合は、高齢者の風邪の怖さを周知して頂けると幸いです。ポイントは「いつもと違う」。違和感があれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。