コラム2024/07/01
外国人の訪問介護サービスの導入とそのメリットとは
厚生労働省は、外国人介護職員の訪問介護サービスへの従事を認める新たな方針を発表しました。この方針により、技能実習や特定技能の枠組みで働く外国人も、事業者が定められた要件を満たせば、訪問系サービスで働けるようになります。
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakai_225506_00001.html
外国人介護職員の導入背景
日本の少子高齢化が進む中、介護職員の不足が深刻な問題となっています。このような状況に対応するため、外国人介護職員の受け入れが進められています。特に、介護分野での技能実習制度や特定技能制度の利用が増えています。
外国人介護職員のメリット
多文化共生の促進
外国人介護職員が増えることで、多文化共生社会の実現が進みます。利用者にとっても、多様な文化や価値観に触れることができ、心豊かな生活が期待できます。
労働力の確保
慢性的な人手不足を補うことができ、安定したサービス提供が可能となります。外国人介護職員の採用は、業界全体の労働力確保に貢献します。
専門知識と技術の向上
外国人介護職員は、母国での介護経験や専門知識を持っており、そのノウハウを日本に持ち込むことで、サービスの質が向上します。
訪問系サービスの対象範囲
新たな方針により、以下の訪問系サービスが外国人介護職員の活動範囲に含まれます
介護保険の訪問介護
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型サービス
外国人介護職員の従事条件
現在、技能実習や特定技能での外国人は、利用者の住まいへ1人で入ってケアを行う難しさから、訪問系サービスへの従事が認められていませんでした。しかし、この規制が撤廃されることで、外国人介護職員の活用が広がる可能性が高まります。特に、大手企業の事業所や集合住宅でサービスを提供する事業所での活躍が期待されます。
訪問系サービスでの外国人活用に向けた5つの要件
厚労省が定めた、訪問系サービスに外国人を採用する事業者の要件は以下の通りです:
- 研修内容の充実
- 訪問介護の基本事項
- 生活支援技術
- 利用者・家族・近隣とのコミュニケーションスキル
- 日本の生活様式などを含む研修を行うこと
- OJTの実施
- 一定期間、サービス提供責任者が同行し、外国人が1人で適切にサービスを提供できるようOJTを行うこと
- 回数や期間は利用者や外国人の状況に応じて適切に判断
- キャリアアップ計画の策定
- 業務内容や注意事項を丁寧に説明し、外国人の意向を確認しながらキャリアパス構築の計画を作成
- ハラスメント対策
- ハラスメント防止のための対応マニュアルの作成・共有
- 相談窓口の設置や職場環境の整備
- 利用者・家族への周知
- ICTの活用
- 記録業務の支援やコミュニケーションアプリの導入
- 相談体制の整備など、ICTを活用した環境整備
厚労省は、これらの要件を遵守させるため、事業者に必要な体制や計画を明らかにする書類を提出させるとともに、巡回訪問による調査・聞き取りを行い、不正がないかをチェックしていく方針です。
まとめ
外国人介護職員の訪問介護サービスへの従事が実現すれば、介護業界の人手不足の解消に大きな役割を果たすことが期待されます。厚労省の新たな方針に基づき、外国人介護職員が安心して働ける環境を整え、高品質な介護サービスを提供していきましょう。