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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

パーキンソン病と在宅療養

コラム2024/04/15

パーキンソン病と在宅療養

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、中枢神経系の疾患の一つで、主に運動障害を特徴とする疾患です。神経細胞の一部が死滅し、脳内のドパミンという神経伝達物質の量が減少することが特徴です。このドパミンの減少が、脳の運動調節中枢に影響を与え、運動機能の障害を引き起こします。パーキンソン病の原因については完全に解明されていませんが、神経細胞の死滅が主な要因と考えられています。これにより脳内のドパミンの量が減少し、運動機能が障害されます。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の最も特徴的な症状は、運動障害です。以下のような症状が現れます。

振戦(ふるえること)

特に休憩時に顕著で、手が揺れたり、足が震えたりします

筋肉のこわばり(リジッド)

筋肉が硬くなり、自由に動かせない感覚があります。

動作の遅延(ブラディキネシア)

普段の動作が遅くなることがあります。例えば、立ち上がるのに時間がかかる、歩くスピードが遅くなるなどです。

歩行困難

歩行が困難になり、小刻みな歩みや足を引きずるような姿勢が見られることがあります。

パーキンソン病の自然歴

パーキンソン病患者は治療開始後5年ほどは投薬がよく効きます(ハネムーン期)。 5~10年経過すると治療薬の調整が必要となり、運動合併症も著明となっていきます。15年ほど経過するとADLは寝たきりとなり介助が必要となります。

約20年の経過でお亡くなりになります。 とある研究では、認知症を呈するまでに発症より6.2年、ジスキネジアを呈するまでに6.6年の経過年数が中央値と報告されています。

パーキンソン病で利用できる公費負担医療

特定医療費受給者証の取得

<条件>ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ 3 以上であって、生活機能障害度が II 度又は III 度のものに限る。

身体障碍者手帳の取得

パーキンソン病の病勢の進行によって身体動作に支障をきたすようになった場合は、「肢体不自由」に該当し、身体障害者手帳の交付により、さまざまな支援を受けられるようになります。ただし、障害の判定は原則として障害が固定していることが前提であるため、症状が変動するパーキンソン病では判定が困難な場合もあるといわれています。

福祉給付金資格者証(丸福)の取得

名古屋市在住の方で条件を満たせば福祉給付金資格者証の取得が可能です。

<対象者>

特定医療費受給者証を所持し、日常生活が著しい制限を受けると医師に証明された方。

日常生活が著しい制限とは具体的には屋内での生活は介護を要し日中ベッド上での生活が主体である方や精神状況により日常生活に支障をきたすような行動・意思疎通の困難さがある方です。前年度の所得により制限があります。

パーキンソン病と訪問看護

パーキンソン病は厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当するため、介護保険ではなく医療保険での介入が可能となります。

医療保険で介入する場合、看護・リハビリに関係なく、合わせて1日3回、1週間で21回まで訪問が可能となります。1回あたりの訪問時間は30分~90分です。

1日1回は緊急訪問のための枠として確保しておく必要もあるため、実質は1日に2回の訪問が限界となったり、1回あたりの訪問も90分訪問を定期的に確保できるかは事業所によって状況が異なるため確認が必要です。

訪問診療の利用

通院の負担が大きくなってきたら訪問診療の導入を検討していく必要性が出てきます。訪問診療を始める際には、全面的に訪問診療へ移行するのではなく定期的な通院を継続しながら訪問診療を導入する“併診”の形をとる方が患者様のメリットが大きい場合も多くあります。訪問診療を導入するタイミングでは、患者様と主治医のお付き合いも相当長くなっているケースが多く、関係性が切れてしまうことに対しての患者様の不安増長や、抗パーキンソン薬の調整が必要となった場合に在宅医と主治医(専門医)との連携が取れず、うまくいかなくなるリスクがあります。

まとめ

今回は、パーキンソン病患者様が在宅寮中に利用できる制度を理解し、患者様が無理なく在宅療養生活を継続できるよう適切なタイミングで必要なフォローをしていくことが大切です。