コラム2019/10/16
緩和ケアについて学んでみよう!Vol.4
緩和ケアについて学んでみよう!Vol.4
緩和ケアシリーズ、前回のお話では鎮痛薬の使用において重要となる考え方について、解説させていただきました。今回は実際にどのような薬がどの分類になるのかをお話します。処方箋をみたけれど、どれが何の薬かわからないという疑問を少しでも払拭できればと思います。
緩和ケアに使われる薬って?
前回、三段階除痛ラダーについてご紹介しました。
この図の中には、非オピオイド、弱オピオイド、強オピオイドと3つの分類がありますので、それらについて解説します。
非オピオイド
NSAIDs…抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用、抗血小板作用など様々な薬理作用を持ち、リウマチ、頭痛、歯痛、外傷、術後痛、発熱などに対し、日常の医療で頻繁に用いられている薬剤。
例) ロキソニン、ボルタレンなど
アセトアミノフェン…鎮痛剤として多く頓服処方されている。ただ、SAIDsと異なり、抗炎症作用はほぼ有していない。
例) カロナール
鎮痛補助薬…神経障害性疼痛をはじめとするオピオイド抵抗性の痛みに対して、非がん性神経障害性疼痛の試験成績をもとに、がんによる神経障害性疼痛に使用されることが多い。抗うつ薬、抗けいれん薬など様々である。
例) リリカ、サインバルタ、リフレックスなど
オピオイド…一般的に、「オピオイド」は「麻薬性鎮痛薬」を指す用語ですが、“麻薬=オピオイド”というわけではない。強力な鎮痛薬としての合法的な医療用の用途がある。
弱オピオイド
軽度~中等度の強さの痛みに用いる 例) コデイン、トラマールなど
強オピオイド
中等度~高度の強さの痛みに用いる 例) モルヒネ、オキシコンチン
投与経路って何種類かあるの?
「鎮痛薬使用の5原則」では、経口での摂取が望ましいとありましたね。ただ、経口以外でも注射や貼付といった別の経路もあります。経口、貼付、注射とそれぞれ異なる経路から薬剤を使うことで、吸収の過程が変わるため薬の効きが良くなることもあり、先生方は多くの選択肢から、都度、最適解を導き出しています。こういった、投与経路を変えて薬を使うことや薬剤変更することをオピオイドローテーションと言います。
オピオイドローテーションとは
オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更したり、オピオイドの投与経路の変更をすることである(日本緩和医療学会)
オピオイドローテーションをする際はオピオイドの換算も重要になりますので経口で飲まれていた用量と注射の用量とが異なることもあります。
まとめ
緩和ケアについて関係することを4回に渡ってお話させていただきました。WHO方式がん疼痛治療法は公表されてから30年以上経ちますが、まだまだ周知されていないことが多いように思えます。今後、在宅医療が広がりを見せるなかで、私たちも最期を安心して過ごしてもらえるよう医療介護従事者および患者ご家族様とのコミュニケーションを今まで以上に強化していきたいと思います。