コラム2024/02/29
細菌性食中毒の代表的な起因菌
私たちが毎日する食事には、調理に気を配らなければ時には重篤な食中毒を引き起こす可能性があります。
本日は細菌性食中毒の代表的な起因菌の紹介をさせて頂きます。
感染型(感染侵入型)
サルモネラ属菌
原因食品は生肉(主に鶏肉)、生卵で増殖温度は5.2~46.2℃で増殖し、60℃で30分加熱で死滅すると言われています。
平均的な潜伏期間は6~48時間です。
通性嫌気性菌に分類され、少量の感染でも発症することがあり、症状として発熱を伴います。
カンピロバクター
原因食品は鶏肉、牛、豚、井戸水などです。増殖温度は30~45度で増殖し、平均的な潜伏期間は2~7日です(発症まで4日以上かかることもある)。
微好気性菌に分類され、酸素濃度3~15%でのみ増加し、大気中(酸素濃度約20%)では増殖できません。また、症状として発熱を伴い、乾燥や熱に弱いことも特徴です。
エルシニア
原因食品は主に生肉(特に豚)、淡水魚介類です。増殖温度は-1.3~42℃で増殖し、平均的な潜伏期間は2~3日です(発症まで3日以上かかることもある)。
通性嫌気性菌に分類され、5℃でもゆっくりと増殖します。
症状として発熱を伴います。
感染型(生体内毒素型)
O157(腸管出血性大腸菌)
原因食品は主に井戸水、牛肉、キャベツなどです。増殖温度は75℃1分以上加熱で死滅します。平均的な潜伏期間は3~5日です。通性嫌気性菌に分類され、ベロ毒素を産生します。症状として一過性の発熱があり腹痛や血便なども伴い、死亡例があることも忘れてはいけません。熱に弱く低温条件に強いという特徴があります。
ウェルシュ菌
原因食品は肉・魚とその加工品、シチューなどの煮込み食品、加熱調理済み食品です。増殖温度は10~52℃で増殖し芽胞は100℃で4時間加熱しても死滅しません。平均的な潜伏期間は6~18時間、偏性嫌気性菌に分類されます。加熱調理後数時間経過したもので発生するのも特徴です。
腸炎ビブリオ
原因食品は魚介類で、調理器具を介して発生することもあります。増殖温度は5~45.3℃で増殖し、平均的な潜伏期間は6~24時間です。通性嫌気性菌に分類されます。
好塩菌(3%で最もよく増殖)で真水で死滅しますが増殖が速く特に夏期は注意が必要です。症状として発熱を伴います。
セレウス菌(下痢型)
原因食品はタンパク質性食品で、増殖温度は4~55℃で増殖します。平均的な潜伏期間は6~16時間で通性嫌気性菌に分類されます。また、セレウス菌には嘔吐型(毒素型)も存在します。こちらの原因食品はでんぷん性食品で平均的な潜伏期間は1~6時間です。
下痢型・嘔吐型のどちらも芽胞を形成することが特徴です。
毒素型
黄色ブドウ球菌
原因食品はおにぎり、牛乳です。増殖温度は7~50℃で増殖し、毒素(エンテロトキシン)は100℃、30分間の加熱でも完全に不活化しません。平均的な潜伏期間は1~6時間で通性嫌気性菌に分類されます。また、耐塩菌でもあり、手指の化膿創を介して感染することも特徴です。
ボツリヌス菌
原因食品は缶詰、いずしなどです。増殖温度は10~48℃で増殖し、80℃30分の加熱で失活します。
平均的な潜伏期間は12~36時間ですが、36時間以降に発症するケースもあります。偏性嫌気性菌に分類されます。特徴的な症状として運動神経麻痺、呼吸麻痺などがあり、致死率が非常に高いのも特徴です。また、乳児ボツリヌス症ははちみつが原因食品となります。
以上が細菌性食中毒の代表的な起因菌です。細菌によっては死に至る可能性があるため食中毒を甘く見てはいけません。加熱をきちんとするようにしたり予防に努めていきましょう。