MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

コラム2023/09/18

指定難病「進行性核状性まひ」についてvol.2

介護のポイント

先述の通り、本疾患は転倒リスクが非常に高いのが特徴です。そのため、転倒防止対策や転倒時に大事に至らないように工夫をしていくことが重要となってきます。

転倒を防ぐための介護のポイント

・排泄・入浴時は目を離さない
浴室では床が濡れていて滑りやすく、トイレでは排泄がすんだら立ち上がろうとして、バランスを崩す場合があります。できるだけ付き添うか、もしくは安全ベルトを装着しましょう。
・排泄はあらかじめ時間で誘導する
多くの方は排泄のパターン(起床・食前後・就寝時)があるので、それに合わせ、あらかじめトイレへ誘導することで転倒しないように付き添うことができます。
・声かけを念入りにする
姿勢が不安定であるにも関わらず、目につくものや気になるものがあるとそのまま行動に移してしまうような、周りの環境に依存的な部分があるため、トイレに行きたいときには必ず呼ぶというように、毎回声掛けを忘れずにすることが大切です。
・物は整理してひとつにまとめる
ものを落とした時に、拾うことに集中してしまい、頭から転倒する場合があります。リモコンなどは紐で結んでおき、気を引くものは見えない場所に片づけるようにしましょう。
・外傷を和らげる対策を取る
いつ、どのように転倒するかは全てを予測することはできませんが、前もって保護をしておくことで外傷を最小限に抑えることができます。家具の角には保護クッションをあて、転倒や受傷が頻回であれば、普段から保護帽の着用をします。ベッドからさくを乗り越えて転倒があれば、高さを一番低くして、衝撃を吸収するために床にマットを敷いておきしょう。

併診のすすめ

急激なADL低下を伴い、転倒リスクも非常に多いため一人での通院はもちろん、介助を伴う通院も大きな負担となります。しかし、内服薬の調整などを考えると、これまで受診していた医療機関への通院を完全にストップすることも大きなリスクとなってしまいます。こういったケースの場合は外来通院と訪問診療を併用する「併診」がおすすめです。
疾患に対するフォローを行うメインの医療機関の医師と転倒や誤嚥などの二次的な部分に対するフォローを行う訪問診療の医師の二名で住み分けし、それぞれが必要なフォローを行っていく形としていきます。
考えられるメリットとしては、「大学病院への通院頻度を少なくできる」、「転倒・誤嚥などの二次的なリスクに対して訪問看護等と連携してリアルタイムで予防のためのアクションを起こせる」、「転倒・誤嚥などが生じた際に緊急での駆け付け体制を作ることができる。」、「長く自宅で過ごしたいという希望に優位に働く」などが考えられます。

まとめ

最近では様々な神経難病の患者様にお会いする機会が増えてきています。
どういった制度が使えるのか、日々の生活で気を付けるべきポイントはどこなのかなど、再度ご確認いただき、寄りよい在宅生活を送れるようしっかりとサポートしていきたいですね。