コラム2023/08/10
認知症を知ろう!~記憶の奥深い仕組み:もの忘れと記憶障害の謎2~
前回の続きです。
認知症を知ろう!~記憶の奥深い仕組み:もの忘れと記憶障害の謎1~
記憶とは、どのような仕組みなのでしょうか
わかりやすく、学校のテスト勉強で考えてみましょう
科目は日本史です。
「卑弥呼=邪馬台国の女王」。
わたしたちは、こうした知識・情報を頭の中に取り込み(記銘)、その知識をテストまで蓄え(保持)、テストでその間題が出たときに取り出して(想起)、解答します。
この記銘→保持→想起の一連のプロセスのことを「記憶」と呼びます。
バスや電車から降りる問題は、このプロセスの一部に問題があるため起こることがあります。
1つ目は、行き先の情報がうまく記銘できていないこと
情報が頭を通り抜けてしまい、変換できずに頭に入らないことがあります。
2つ目は、必要な情報を保持できないこと
路線番号や駅の出口の数字をすぐに忘れることがあります。
3つ目は、想起できないこと
保持した記憶を思い出すためのきっかけが必要で、認知機能の障害がこれを困難にすることがあります。
4つ目は、記銘→保持→想起の一連の流れの後の「行動」のトラブルによるものです
「降りる場所はわかっているのに、なぜか自分の腕がボタンに向かって伸びていかない」というエピソードのように、考えや意思の通りに身体を動かすことが難しい場合があります。
料理を例にしてみましょう
過去の料理の情報は脳に保存されているかもしれませんが、思い出すのは簡単ではありません。
冷蔵庫を開けると「ひき肉」というキーワードから料理名を思い出すことが普通ですが、認知機能の問題でその連想が難しくなり、メニューが出てこなくなることがあります。
しかし、感覚(触覚や嗅覚)がきっかけとなれば、料理名を思い出すこともあります。
つまり、「知識や経験を記憶できない」という同じ記憶の障害が、様々な困りごとに影響していることが分かります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。エピソードにおいて何が「もの忘れ」で何が「記憶障害」かイメージがつきましたでしょうか。
もどかしさからイライラにつながってしまうこともあります。周りも本人の気持ちを知ってくれると支援も変わってきますね。