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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

高齢者の骨折と腰痛:予防と治療のポイント

コラム2023/08/08

高齢者の骨折と腰痛:予防と治療のポイント

高齢者の多くに見られる骨折は、脊椎圧迫骨折、橈骨遠位端骨折、大腿骨近位部骨折、上腕骨近位端骨折が主なものです。特に大腿骨近位部骨折は、日常生活や生命予後に重大な影響を及ぼす寝たきりのリスクが高い骨折です。

大腿骨近位部骨折は、初発骨折の後に第二・第三の骨折が起こる可能性もあるドミノ骨折と呼ばれる状態が知られています。適切な二次予防策として、初発骨折後の骨粗鬆症治療が重要であり、ビスホスホネート製剤を用いることで反対側の大腿骨近位部骨折を約70%抑制できます。リハビリテーションや運動療法も欠かせません。

腰痛については、高齢者の場合、椎体の圧迫骨折によるものがあるかどうかの判別が難しいことがあります。椎体骨折の多くは無症候性で、患者が気づかないこともあります。診断にはMRI検査が有効ですが、全例に行うことは難しいため、脊椎の圧痛や叩打痛の有無などの診察が重要です。

治療としては、新鮮骨折では局所の安静や外固定が行われます。重度の外力が加わった場合は、脊柱管内の神経の損傷を伴うこともあり、専門医の紹介が必要です。圧迫骨折が落ち着くと変形性脊椎症に進行する場合もあるため、その後の慢性腰痛に対する治療が重要ですが、過度の安静も避けるべきです。

まとめ

高齢者の骨折と腰痛は、日常生活や生命予後に大きな影響を及ぼす重要な健康問題です。予防と治療のポイントを理解し、適切な対応を行うことが重要です。初発骨折後の二次予防や適切なリハビリテーション、脊椎圧迫骨折の診断には注意が必要です。また、過度の安静による廃用を防ぎ、早期の治療により患者のQOL向上を図ることが重要です。高齢者の健康をサポートするためには、専門家のアドバイスを仰ぎながら、総合的なアプローチを取ることが望まれます。健康な老後を迎えるために、骨折予防と腰痛対策に努めましょう。