コラム2023/06/27
知っておこう!全額自己負担?混合診療と保険外併用療養費の違いについて
混合診療は全額自己負担ですが、保険外併用療養は、保険診療分については保険が適用されます。例えば、入院時に個室を利用する場合、差額ベッド代は全額自己負担ですが、診療費は保険が適応されるため、保険外併用療養になります。
今回は、混合診療と保険外併用療養費の違いについて、お伝えします。
保険診療の仕組み
医療保険制度は、①医師や病院・診療所といった保険医と保険医療機関、②健康保険組合といった保険者、③医療を受ける立場である被保険者(患者)、④審査支払機関である支払基金と国保連合の4者から成り立っています。
保険診療の一連の流れは下記のようになります
- 被保険者が保険者に保険料を支払うことで、
- 保険証(被保険者証)の交付を受けられます。
- 国民皆保険制度では被保険者は医療機関を自由に選び、自身が受診したい医療機関で保険証を提示し診療サービスを受け、その一部負担金を支払います。
- その後、保険医療機関は審査支払機関にレセプト請求を挙げますが、その際、患者が公費負担医療を利用している場合は一部もしくは全額を公費として請求します。
- 審査支払機関は保険者に審査済み請求書を送付し、
- 内容を確認した保険者は審査支払機関に請求金額の支払いを行います。
- 最後に審査支払機関から保険医療機関に信用報酬の支払いを行い、すべての手続きが完了します。
混合診療とは
上記のような通常の流れに沿った保険診療であれば、患者は1~3割の医療費の一部を支払うことになります。これは受けた診察が公的医療保険で定められた保険診療だからです。
しかし、使い方次第では本来保険適用であるはずの診療も10割負担となってしまう場合があります。これが混合診療です。
とある治療に際し、保険外適用外診療(保険診療に対し、保険の適用されない医療サービス。自由診療とも言う。先端医療技術や健康上の理由以外で行われる治療などが含まれます。)と保険適用の診療が混在している状態になると通常の保険診療と共通する診察・検査・投薬・入院なども健康保険がきかなくなります。
高額療養費制度も適用外となり、すべての治療費が患者負担となってしまいます。
保険外併用療養費とは
一方で、保険診療適用ではないものでも保険診療との併用が認められている療養もあります。これが保険外併用療養費です。
保険外併用療養費がみとめられているものとしては①評価療養と呼ばれる、高度先進医療と将来的に保険適用が検討される医療と②選定療養と呼ばれる、保険適用を前提としない患者が特別に希望する医療があります。
例えば入院の際に個室を希望されれば差額ベッド代が発生しますが、差額ベッド代が発生しても、入院治療費に対しては保険診療が適用されます。
これは差額ベッド代は選定療養に含まれるので、入院費用は保険が適用されるという仕組みです。
まとめ
混合診療はまだ日本では認められていないため、利用してしまうとそれに関わる治療全てに対して保険がきかなくなってしまいます。利用されるされないは個人の判断次第ですが、利用時は注意が必要ですね。