コラム2023/06/23
夏肌のトラブルを解決!原因別の皮膚炎対策で快適な夏を過ごそう
高温多湿な夏は、多量の汗が原因となる皮膚炎や皮膚トラブルが起こりやすい季節です。
菌の繁殖も活発になるため、皮膚の感染症も多く見られます。
また、肌を露出する機会が増えることで、強い紫外線、かぶれを起こす植物や虫など、外部からの刺激を肌に受けやすくなります。
原因別の皮膚炎・皮膚トラブルと対処法をお伝えさせていただきます。
「汗」が原因となる皮膚炎・皮膚トラブルは?
夏は汗による皮膚トラブルが多くなります。
主にあせもや汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)、接触皮膚炎などに注意しましょう。
あせも・汗疱状湿疹
高温多湿の夏は汗を多量にかくため、汗腺で分泌された汗を皮膚の外に出す汗管が詰まりやすくなります。
皮膚の表面近くの汗管が詰まると、透明の小さな水疱がたくさんできます(白いあせも)。皮膚の表面から少し深い所で汗管が詰まると、赤い発疹が現れ、かゆみや痛みを伴います(赤いあせも)。
また、手のひらや足の裏など、角質の厚い部分に起きると汗疱状湿疹といって、小さな水疱がたくさん集まって大きくなったり、かゆみや炎症を伴ってくることがあります。
アレルギー性接触皮膚炎
汗が原因となる皮膚トラブルとして、アレルギー性の接触皮膚炎もあります。
皮膚に触れるアクセサリーなどの金属の成分が汗でわずかに溶け、その成分に皮膚がアレルギー反応を起こしてかぶれてしまいます。
アトピー性皮膚炎の悪化
アトピー性皮膚炎の人は皮膚のバリア機能が弱いため、汗をかきやすい夏に悪化する場合もあります。
皮膚トラブルが夏に症状悪化しやすいのはなぜ?
皮膚トラブルには、季節ごとに悪化要因があります。
春・秋は花粉、冬は乾燥、そして夏の最大の悪化要因は、汗、汚れ、紫外線です。
汗をかくと、かいた汗が刺激となってかゆみが強くなります。
気温も湿度も高い夏は、体の中に熱がこもりやすく、かゆみが増す原因になるのです。
加えて夏は、黄色ブドウ球菌などの細菌も繁殖しやすくなります。
引っ掻き傷などがあるところに細菌が侵入して炎症が悪化すると、「とびひ(伝染性膿痂疹)」と呼ばれる二次感染が生じ、入院が必要になることもあります。
また、紫外線の影響もあります。紫外線を浴びると、体を錆びさせる活性酸素が体内で多く作られ、皮膚表面の油分(皮脂)が酸化されて過酸化脂質を生じます。
過酸化脂質は皮膚のバリア機能を壊して炎症を悪化させ、かゆみを引き起こすため、症状が悪化することがあります。
夏の皮膚トラブル対策
清潔を保つ
かゆみの原因である刺激を少なくする為に汚れを洗い流し、清潔に保つことが大切です。
ただし、皮膚には「皮膚フローラ」と呼ばれる細菌の集まりが存在します。
洗いすぎると皮膚フローラのバランスが崩れ、症状悪化の一因となります。
皮膚をゴシゴシ洗ったり、過剰に洗浄剤を使ったりすることは避けましょう。
保湿をかかさない
ローションで水分を与えた後、乳液、クリームなどで潤いを逃がさないようにします。
特に入浴後は皮脂が洗い流されて乾燥しやすくなるため、入浴後10分以内に保湿をしましょう。
シワに沿ってたっぷりと保湿剤を塗るのがコツです。
十分な保湿には熱を冷ます効果もあり、「冷却」にも有効です。
冷却する
皮膚の中で炎症が起こると、熱を持ちます。
冷やすことで炎症や熱感を抑え、かゆみや赤みを和らげることができます。
保冷剤をハンカチやタオルにくるんでかゆい場所に当てると楽になります。
また、運動などで汗をかくことで、気化熱などによって皮膚の内部にこもった熱を発散させることができます。
汗を適切に処理すること
かいた汗を放置しないことが大切です。
すみやかにシャワーで洗い流せるとベストですが、すぐに洗えないときは汗拭きシートなどで拭き取り、できるだけ風通しの良い涼しいところで過ごしましょう。
エタノール(アルコール)が含まれる市販の汗拭きシートは、肌にしみる、油分を奪ってしまうといった可能性が高いので、アルコールフリーの製品を選びましょう。
市販されている赤ちゃん用のお尻拭きもおすすめです。
運動前など、汗をたくさんかくことが分かっている場合は、汗がたまりやすい首・ひじ・ひざまわりなどに、あらかじめワセリンなどの保湿剤を塗っておくと、汗を弾くため、汗の刺激によるかゆみの予防に効果的です。
なお、汗をかくとかゆくなるため、中には汗をかかないように気をつけている人もいるようです。
しかし、汗をかくことにはメリットも多く、運動する習慣をつけるなど、積極的に汗をかく努力も大切です。
また、肌着は通気性・吸湿性の良いものをおすすめします。
綿100%は吸湿性に優れていますが、一度ぬれると乾きにくく雑菌が繁殖しやすくなりますので、汗をかいたらすぐ着替えることが大切です。
現在は速乾性の新素材が開発され、化繊が混じっていても肌触りが良くてかゆくなりにくいものもあります。自分に合った使いやすい肌着を探してみましょう。
紫外線対策をすること
紫外線によって症状が悪化するおそれがあるので、日焼け止めを必ず使用しましょう。
市販の日焼け止めには、紫外線の吸収剤と散乱剤が含まれています。
製品によって成分の割合は異なりますが、紫外線吸収剤は熱がこもりやすく、かゆみが増してしまうことがあるので、できるだけ紫外線散乱剤が多いものを選ぶとよいでしょう。
ただし個人差がありますので、皮膚科医に相談してサンプルを試すなどして、刺激が少なく、自分の肌に合ったものを使うことが大切です。
まとめ
夏の高温多湿な環境では、汗による皮膚炎や感染症、紫外線や外部刺激も肌トラブルの原因のリスクを高めます。
今回ご紹介の対策を実践することで、夏の皮膚炎や皮膚トラブルを予防しましょう。
ただし、症状が重い場合や継続する場合は、医療機関を受診してください。