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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

明日を紡ぐ、認知症治療の革新となるのか

コラム2023/06/14

明日を紡ぐ、認知症治療の革新となるのか

米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は9日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病の治療薬レカネマブの承認を支持する意見をまとめました。

早期段階における治療に有用であることが後期臨床試験(治験)で確認されたとのことで、今後、認知症治療に新たな時代が到来するのでしょうか。

認知症とは

いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6か月以上継続)を指します。

認知機能(記憶、判断力など)低下をイメージする方も多いのではないでしょうか。

65歳以上から発症する率が上がり、85歳以上では4人に1人が発症すると言われています。

また、65歳未満の若い人が発症する若年性認知症もあります。

アミロイドβとは

アミロイドβとは、脳内で作られるたんぱく質の一種です。

健康な人の脳にも存在する物質で、通常は脳内のゴミとして短期間で分解、排出されます。

しかし、アミロイドβ同士がくっついて異常なアミロイドβができると、排出されずに脳に蓄積され、健康な神経細胞にアミロイドβがまとわりつきます。

そしてアミロイドβの出す毒素で神経細胞が死滅して情報の伝達ができなくなり、徐々に脳が委縮し、その結果、アルツハイマー型認知症が進行していくことになります。

アミロイドβが脳に溜まると、「老人斑」と呼ばれる染みができることが分かっています。

かつては脳に溜まったアミロイドβを確認することは困難でしたが、現在ではアミロイドPETという検査により、画像診断で脳内のアミロイドβの蓄積量が分かるようになりました。

なおアミロイドPETは、健康保険の適用外のため自費診療となります。

希望する場合は、事前に病院や健康センターなどに連絡をして、検査方法や費用の説明を受けましょう。

治療薬レカネマブとは

脳の神経細胞にとって毒となるタンパク質「アミロイドβ」に結合し、除去するモノクローナル抗体です。

レカネマブがあることでアミロイドβ同士の結合が抑制され、異常なアミロイドβが形成されにくくなり、蓄積しにくくなるということですね。

アメリカでの承認後、全世界で承認が加速する!?

エーザイは8日に「脳内アミロイド病理が確認された早期アルツハイマー病(アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害および軽度認知症)に係る適応で、韓国食品医薬品安全処(MFDS)に新薬承認申請を行いました。本申請は、アジア地域(日本、中国を除く)における最初の申請となり、引き続き、アジア地域各国での新薬承認申請を行う予定と発表しました。

このことからも、全世界での申請・承認が活発になっていくことが予想されます。

まとめ

これから薬価や適応とするための前検査など流れが決まっていきますが、新たな機序の薬が出てこれば、選択肢が増えていきますので、さらなる健康寿命の延長になるかもしれません。