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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

呼吸不全の分類(Ⅰ型・Ⅱ型)

コラム2023/04/24

呼吸不全の分類(Ⅰ型・Ⅱ型)

呼吸不全とは

呼吸器不全とは、室内気で動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr(SPO2 90%相当)以下の状態を指します。

この呼吸不全の状態が1か月以上続く場合を慢性呼吸不全と呼びます。

呼吸不全の分類

呼吸不全は一般的に、発症してから呼吸不全の続く期間が1か月未満の場合を急性呼吸不全、1か月以上続く場合を慢性呼吸不全と分類されます。またPaCO245Torr以下のものを1型、45Torr以上のものを2型と分類されます。Ⅰ型は、酸素が足りていない状態で、CO2が体外にちゃんと吐き出されている状態、Ⅱ型は酸素が足りておらずCO2も体外に吐き出されず体内に蓄積されている状態といえます。

Ⅱ型はさらに、A-aDO2が開大するものと、開大しないものに分類されます。

※A-aDO2とは肺胞気動脈血酸素分圧較差のこと。理想的な肺胞気と動脈血の酸素分圧較差を指します。

原因疾患

Ⅰ型呼吸不全の代表的な原因疾患は、間質性肺炎、肺水腫、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、無気肺、肺血栓塞栓症、肺動静脈瘻などが挙げられます。

Ⅱ型呼吸不全の代表的な原因疾患は、

  • A-aDO2が開大するケースではCOPD、気管支喘息などが挙げられ、
  • A-aDO2が開大しないケースでは原発性肺胞低換気症候群、脳血管疾患、睡眠薬の過量服用など、ギランバレー症候群、進行性筋ジストロフィー、重症筋無力症などの神経系疾患、筋疾患などが挙げられます。

治療法の違い

Ⅰ型呼吸不全では酸素が不足している状態なので、基本的には酸素を補うことが治療法になります。在宅療養では、HOTを導入します。

一方、Ⅱ型呼吸不全ではCO2が体内に貯留しているため、CO2ナルコーシスを起こしてしまいます。しがたって、体内に貯留しているCO2を吐き出させるためにNIPPV 等を導入します。

まとめ

呼吸不全は分類によって医療的なアプローチが異なります。

それぞれの分類について正しく理解しておく必要がありますね。